よくある質問

Q1.
医薬分業ってどんな制度ですか?
A.

医薬分業とは、患者が医師・歯科医師の診察を受けた後、医療機関から薬の代わりに処方せんをもらい、その処方せんをもって街の保険薬局で薬を調剤してもらう制度です。薬の効果や安全性を一層高め、医療の質の向上を図ろうとするものです。
一般的に、次のようなメリット・デメリットが考えられます。

<メリット>
  • 患者さんが、薬について薬剤師から十分な説明が受けられ、薬の有効性・安全性が一層向上します。
  • 薬局では、患者さんの体質やアレルギー歴、今までに服用した薬、患者さんへの説明内容などの情報を記録していますので、副作用等の防止が図れます。
  • 患者さんの薬を受け取るまでの待ち時間が短縮されます。
<デメリット>
  • 患者さんは、病院と薬局を回らねばならないので、二度手間となります。
  • 病院の処方せん料や薬局の調剤基本料など患者負担が若干増えます。
Q2.
薬はどこに保管すればよいのですか?
A.

薬は高温と湿気と光に弱いので、直射日光が当たらない湿気の少ない涼しいところに保管することが大切です。
目薬やシロップ剤などは同じものを何度も使用するため、汚染を防止するために冷蔵庫に保管した方が良いです。
小さな子供がいる家庭では簡単に手が届くところに置かないようにしましよう。
家の中では北側の部屋で、押入れの下段の方に缶に入れ乾燥剤などを入れて保管しておくと良いでしょう。台所は湿度が高いので避けた方が良いでしょう。
冷所保存というのは15℃以下の保存を、室温保存は1~30℃での保存をいいます。冷所保存でもフリーザーに入れると薬によっては変質して効果が無くなるものもありますので、ご注意願います。

Q3.
薬はどうして飲むのが適切なのでしょうか?
A.

薬は、きちんと水またはぬるま湯(37度くらい)で飲むのが原則です。飲みにくいといってお茶やジュース、牛乳では飲まないようにしてください。薬によっては、ジュースやコーラに入っている炭酸や、牛乳のたんぱく質や脂肪が薬の成分と結びついて、変化する可能性があります。お酒やビールで飲むことも薬の作用に影響を与えたり、副作用を高めるので危険なことがあります。
また、薬を服用する時期と薬の性質は大へん密接な関係にあるので、次の服用時間はしっかり守りましょう。

  • 食前:食事の30分~1時間前の空腹時
  • 食直前:食事の前(食後直ぐに薬の効果を期待)
  • 食直後:食事が済んだら直ぐに(胃腸障害を起こしやすい薬のことが多い。)
  • 食後:食事のあと30分くらい(胃腸障害の予防、飲み忘れの予防)
  • 食間:食後2~3時間後の空腹時(食事をしながらではない。)
  • 就寝前:寝る直前、または寝る30分~1時間前
  • 頓服:必要な時(痛みを止める、熱を下げる、咳を止める、便を出すなど)

薬を飲み忘れたからといって、次に2回分をまとめて飲まないでください。不安な時には、医師や薬剤師に相談して、薬の服用方法・時間について指示されたとおりに飲みましょう。

Q4.
粉薬・錠剤やカプセル剤などの違いで効果がどのように変わるのですか?
A.

薬の剤形には、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、点眼剤、軟膏剤、坐剤、注射剤など数多くの種類があります。
一般に最も速く効果が現れる剤形は注射剤で、次いで吸入剤、舌下剤、液剤、散剤、錠剤の順になっています。個々の製品や成分によっても効果の現れる時間が多少違っています。
錠剤やカプセル剤は、味の悪い薬や匂いの強い薬を飲みやすくするという利点があります。また体の中でゆっくり溶けることで効果が長時間持続するように工夫されている錠剤、カプセル剤、顆粒剤などもあります。カプセルを割ったり、 錠剤を噛み砕いたりすると速く溶けすぎたり、腸で溶かしたい薬が胃で溶けたりすることにより、期待する効果が現れないこともあるので注意してください。
鎮痛解熱剤の多くは、胃腸障害の副作用がありますので、空腹時に使用しない方が良く、使用する場合には少し食物を食べるようにしましよう。

Q5.
体の中で薬はどうなるのですか?
A.

薬がその効果を現すためには、体内に吸収され症状を示す部位へ到達することが必要です。薬の吸収は、投与経路(内服、外用、注射など)によって、また薬の性質によって様々です。
内服薬の場合、大部分は小腸から吸収され、血液、リンパの流れによって全身に運ばれます。吸収された薬は体内にほぼ均等に移行すると考えられますが、脂肪に溶けやすい薬は、脂肪組織や脂肪の多い神経系に比較的よく集まります。内服すると胃酸で分解されてしまったり、ある種の薬は胃に負担をかけて胃を荒らす場合もあります。(このようなときには坐剤や注射剤が投与されます。)
坐剤は直腸下部の粘膜から吸収され、胃などの消化管を通らずに血中へ入ります。一部の坐薬では腸管循環により消化管の副作用が現れることもあります。
注射剤は直接血液中に薬物を移行させることができます。そのほか局所的な作用を目的として、皮膚、目、耳、腺等に外用として用いる薬も数多くあり、病気の状態により、投与経路や性質によって薬は使い分けられています。
薬が吸収されて生体内に入り、薬理作用を生ずると同時に生体内では薬を変化させて体外に排泄しようとします。この変化は広い意味での解毒作用といえます。この体内変化をしたものが薬効を示す薬もあります。
一般に薬物が治療効果を現した後、代謝を受けて体外へ排泄されるときは、水に溶けやすい物質に変えられ尿中へ運ばれます。ビタミン剤など一部の薬を飲むと尿に色がつくことがあります。尿中以外にも、造血剤や下痢止めの薬などは腸管へ排泄され、大便に混じり便を黒変させることもあります。薬物はこれら以外にも呼気とか唾液、汗などにも排泄されることが知られています。また、乳腺へ移行し乳汁中に排泄される薬物も知られております。
薬の吸収と代謝・排泄のバランスから薬の作用時間が決まります。薬の構造を変えたり製剤上の工夫をしたりして、作用時間を長くする薬も発売されています。

Q6.
副作用はどうして起きるのですか?
A.

薬は本来、われわれの体にとっては異物です。これを上手に、しかも安全面に十分注意して有効に利用しているのです。
薬は長い年月と費用をかけて有効性と安全性がチェックされています。いくら有効な物質であっても、安全性が確保されない場合には医薬品として認められません。正しい使用方法により、有効で安全であると判断されたものだけが医薬品として流通させることができます。
したがって間違った使用方法や不適正な使用量の場合などには有害作用、いわゆる副作用が現れることがあります。またわずかではありますが、安全性に十分注意しながら使用しているにもかかわらず、副作用が現れる場合もあります。特にアレルギー反応による発疹や発熱などが代表的な例です。また副作用は個人差が大きく影響します。年齢、体質、性別、人種差、病気の種類など様々な要因が関係します。
薬の副作用をより少なくするためには、まず薬を正しく使用することです。一般用医薬品であれば、添付されている使用上の注意をよく読んで、理解したうえで用いることが大切です。
また病院より処方された薬は、薬袋に書かれている指示どおりに使用してください。少しでも疑問な点があるときは遠慮なく薬剤師におたずねください。また過去に薬を飲んでアレルギーなど副作用が現れたことがあれば、受診されたとき医師にその薬剤名を必ず伝えてください。他病院や他科に受診して別の薬を使用している場合や、一般用医薬品を使用している場合なども必ず医師に伝えるようにしてください。
副作用と思われる症状(発疹、発熱、吐き気、下痢、めまい、けいれんなど)が現れた場合には、まず担当医師や薬剤師に相談してください。

Q7.
薬はどれくらい長持ちするのですか?
A.

薬の外箱には有効期間や使用期限が表示してあります。適切な保存条件下において、その期限内であれば、性状及び品質に変化はありません。(ただし3年を超えても性状及び品質が安定な医薬品は、表示しなくても良いことになっています。)
容器などに開封したときの日付を書いておくと、使用するための目安になります。品質が安定な期間は、一般に開封後約6ヵ月位と考えておいた方が無難なようです。
使用期限内でも保存状態が悪ければ変質してしまっていることもあります。外観が変化しているような場合には使用するのは差し控えましょう。
救急箱などに入れて保管している場合には、半年に一回くらいは期限切れや変色などの点検をしましょう。特に目薬やシロップ剤は雑菌やカビが混入すると、薬剤の水分や糖分によって、どんどん繁殖して増えることもあります。長く使わなかった場合には惜しまずに廃棄しましょう。

Q8.
小児に薬を与える時はどんなことに気をつけたら良いのでしょうか?
A.

粉薬の場合は、少量の水で口の中をうるおし、粉薬を口の中へ入れて、コップ一杯の水またはぬるま湯を飲ませます。あるいは少量の水、ぬるま湯などで練り、頬の内部や上あごにこすり付けて飲ませます。また適量の水、ぬるま湯で溶かし、スプーンやスポイトで少量ずつ、なるべく口の奥に流し込みます。1回分をミルクの中に溶かしこんで与えると、飲み残したり、ミルクの味が悪くなってミルク嫌いになることがありますので、気を付けましょう。
シロップ剤の場合は、かるく振って中味を均一にし、計量カップ等で計り、乳児にはスプーンやスポイトなどで頬の内側に落として少しずつ飲ませ、口直しに水やぬるま湯を飲ませます。使った計量カップ等はきれいに洗っておきましょう。
錠剤・カプセル剤の場合は、コップ一杯の水またはぬるま湯と一緒に飲ませます。飲んだ後、口の中に錠剤が残っているかどうかチェックしましょう。お子さんを座らせた状態で飲ませてください。(寝かせたままで飲ませると窒息する恐れがあります。)
坐薬の場合は、先のとがった方を肛門にあてて坐薬を一気に入れます。入れたら10秒程押さえていてください。挿入してから15分くらいで溶け、4~5時間効果が持続していますから、効き目が現れないからといって直ぐに、2個目を入れないでください。
塗り薬の場合は、患部をきれいにし、保護者の手指もきれいに洗い、適量を指先に付け、医師から指示のあった部位に塗ります。そしてよく延ばしてください。
発赤、じんましん、元気がない、ふるえなどいつもと違う様子が見られた時には、できるだけ早く医師や薬剤師に相談しましょう。

Q9.
高齢者が薬を服薬するときには、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか?
A.

高齢者では腎臓や肝臓の機能が低下してくるので、薬の代謝や排泄が悪くなり、薬の効力が増強して効き過ぎたり、薬が体内に長く貯留したりして、予期せぬ副作用を起こすことがあります。また、高齢の患者さんでは、様々な疾患を併発することが多く、服薬する薬の種類も多くなり、思わぬ薬剤の相互作用を引き起こす可能性も高くなります。そのため、高齢者は副作用の発生が若い人に比べて多いのです。
病院や診療所で受診する時は、まず今の身体の具合や飲んでいる薬を医師や薬剤師に正確に伝えてください。
薬を飲む時は、量と時間を必ず守り、コップ一杯程度の水かぬるま湯で飲んでください。なお、固い包装シートに入っている薬はシートから出して飲んでください。薬を飲み忘れたら、直ぐ飲んで次回に飲む時間を遅らせてください。ただし、次ぎに飲む時まで余り時間がない場合は、1回飲むのをやめてください。2回分を一度に飲むのは絶対にやめましょう。
薬を飲んでいる間に発疹、発赤、かゆみ、むくみ、ねむけ、動悸、めまいなど「なにか変だな。」と感じたら、直ぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

Q10.
目薬の上手なさし方はどうすれば良いのですか?
A.

まず手をきれいに洗います。それから眼球を押さえないように指で下瞼を軽くひき、容器の先が瞼やまつげに触れないように1滴を滴下します。点眼後は1分間くらい、まばたきをせず静かに眼を閉じ、軽く目頭を押さえたりしてください。眼から流れ出た点眼液は、清潔なガーゼやティッシュで拭き取ってください。
2種類以上の目薬を使用する時は順序に決まりはありませんが、点眼間隔を5分間程度開けてください。それから開封後は汚染の危険性もあるため、5mL容器では1カ月くらいを使用の目安にしてください。ただし、浮遊物や濁りが認められた時は、1カ月以内でも使用しないでください。
目薬は眼の結膜嚢というところに入り、効果を現わします。結膜嚢は、点眼剤1滴の8割くらいしか受け入れませんので、1滴で十分効果があります。結膜嚢に入りきらない点眼液は眼からあふれるか、あるいは鼻涙管を通って鼻から喉へ排出されます。

Q11.
薬剤師さんから目薬は1滴で十分といわれましたが、それで良いのでしょうか?
A.

目薬は涙と混ざり合った後、主に角膜を透過して目の中に移行していきます。目薬の1滴の量は約50µLですが、結膜嚢の最大容量は約30µLです。そして結膜嚢には涙液が常時7~10µLありますので、収容できる点眼量は20~23µLとなります。目薬1滴の半分近くは結膜嚢外にあふれるか、あるいは涙点から吸い込まれて、涙嚢、鼻涙管を通って鼻から喉へ排出されてしまいます。
また、目薬を何滴点眼しても、眼内の薬物濃度は変わらず、あふれ出た成分や保存剤により、かえって目のまわりに炎症等を起すこともあります。
従って、1回の目薬の量は1滴入れば十分であり、1滴以上は全く無駄になるということになります。

Q12.
体の調子が悪いので、健康食品を飲んでみようと思いますが、良いでしょうか?
A.

健康食品は薬とは違います。薬は基準に従い臨床試験を行って、人の病気に対する効果と安全性をきちんと調べてあります。しかし、いわゆる健康食品といわれるものは、民間薬として使われていたものや動物実験で効果があったといわれているものなどを原料としており、人の病気に対する効果や飲む量、安全性などについて詳しく調べてありません。一般に流通している豆腐やコンニャクなどの食品と同じように、単に食品としての基準を満たしたものが製造・販売されています。従って、病気の治療を目的としたものではないので、あまりお勧めすることはできません。
効果があったという人がよくいますが、多分に心理的効果が大きい割合を占めているものと考えられます。例えば、薬の治療効果を調べる時に、乳糖のように治療効果のない成分と薬とを比較することがありますが、乳糖のように効果のない成分でも治療効果が現れることがあります。(これをプラセボ効果といいます。)効果がないようであれば直ぐやめて、医師の診察を受けられた方が良いと思います。

Q13.
漢方薬は副作用の心配がないって本当ですか?
A.

「漢方薬は副作用の心配がないので、自分の判断で飲んでも大丈夫。」と思っていませんか。漢方薬といっても、副作用や相互作用は起こります。
漢方薬は患者の体質や状態(証といいます。)によって使い分けられています。証が合っていないと、効果がないだけでなく、思わぬ副作用を起こす場合もあります。また、相互作用についても同じで、飲みあわせによっては重い症状を引き起こすこともあります。
漢方薬についても医師や薬剤師からしっかり説明を受け、また、薬局・薬店で漢方薬を貫う場合も十分説明を受けて、正しく服用しましょう。

Q14.
薬を「食間」に飲むように指示されたのですが、いつ飲めば良いですか?
A.

「食間」とは、食事と食事の間のことをいい、食事をとってから2~3時間が経過した時期を指します。決して食事中に服用するという意味ではありません。間違わないようにして下さい。
この服用時間は薬の性質に基づき決められていますので、定められた時間に飲まないと効果が弱められたり、不都合を生じたりします。
例えば、胃に食物がない時に服用したほうが効果的である漢方薬などでは、この「食間」服用が指示されることがよくあります。アスピリンのように胃に負担をかける薬を「食間」に服用すると胃の調子が悪くなる方もあります。また利尿剤は、しばしば朝食後に服用するよう指示されますが、それを就寝前に服用すると、夜中にトイレに何回も起きなければならなくなってしまいます。服用時間はしっかり守りましょう。

Q15.
食前に飲む薬を食後に飲んだらどうなりますか?
A.

薬の服用時間は、いつ飲むと吸収がよく効果があるか、いつ飲むと一番のみ忘れがないかなどによって決められています。大部分の薬は、食前・食後・食間とも吸収にあまり差がないので、一番飲み忘れが少ないとされる食後服用となっています。
しかし、薬の性質によって必ずその時間に服用しなければならないものもあります。例えば、食欲を抑える薬や食物の消化・吸収を遅らせる薬は、食前に服用しないと効果が得られません。また漢方薬は食後に服用すると不快を訴える人が多いためと効果を高めるために、一般に食前や食間に服用するようになっています。消炎鎮痛剤など胃を荒らしやすい薬は食後の方が胃への負担が少ないので、食後服用とされることが多い。
また、体の中に常に一定量の成分を維持しなければならない薬は、等間隔服用とすることがあり、食事と関係なく服用時間が決められています。
食前に飲む薬を飲み忘れて、食事中・食後に飲むのはやむを得ないと思います。ただ薬を飲む間隔が開きすぎると効果が薄れ、間隔を縮めると副作用が現れることがありますので、自分勝手に服用時間を変えるのはやめましょう。もしどうしても都合が悪いときは、医師や薬剤師に相談してください。

Q16.
病院でもらった薬は薬局で買えないのでしょうか?
A.

薬を手に入れるには大きく分けて2つの方法があります。一般用医薬品を薬局で買い求める方法と医療用医薬品を医師により処方してもらう方法の2種類です。
一般用医薬品は、体の調子が悪いときに医師に診てもらわないで、自分の判断で薬局で購入して用いる薬です。誰でも自由に買うことができます。
医療用医薬品は、医師の診察を受けた後、病院や診療所で直接調剤してもらうか、処方せんにより薬局で調剤してもらう薬です。医療用医薬品は医師の指示があった場合か、処方せんがなければ求めることはできません。
しかし、今まで医療用医薬品であったものが、一般用医薬品と同じように薬局で購入できるようになった薬もあります。この薬は一般にスイッチOTC薬といわれています。
よくテレビ等で耳にされるH2ブロッカー(消化性潰瘍治療薬)がその例です。これらを購入する際には、使用方法や副作用のみならず飲み合わせや重複について十分注意を払う必要がありますので、薬局の薬剤師とよく相談してください。

Q17.
余った薬はどうすればよいのですか?
A.

<市販の薬の場合>
薬の使用期限は、適切な保存条件下で3年以内に性状及び品質が経時変化を起こす恐れのあるものは、使用期限を記載しなければならないことになっており、3年経過後も性状及び品質が安定なものは、記載しなくてもよいことになっています。
そこで、期限を過ぎた薬や、いつ開けたか分からなくなってしまった薬は、思い切りよく処分しましょう。(1年に1回は薬箱の定期点検をしましょう。)

<病院の薬の場合>
患者さんの容態に合わせて処方された薬ですから、同じような症状だと思い他人にあげたり、他人からもらったりしないようにしてください。そして疾病が治癒した後も、もしもという時のために薬を残しておくということはしないで、すみやかに処分しましょう。
開封後の薬の期限は薬によっても多少の違いはありますが、正しい保管状態で約6カ月位が目安だといわれています。もったいないと思わずに処分し、再び身体の具合が悪くなった時は新たに医師の診察を受けるようにしましょう。

Q18.
薬局で、調剤した薬についての説明文書をくれるのですが、飲み合わせの悪い薬や副作用が
たくさん書いてあり、不安になってしまいますが?
A.

各医療機関や薬局では、患者さんに薬の説明文書をお渡しし、飲み合わせの悪い薬や副作用についてあらかじめ知っていただき、服用の際には十分注意して貰らうようにしています。これは薬の安全性を一層向上させるためのものなのです。説明文書に書いてある内容について疑問や不安になられることがあれば、医師や薬剤師に遠慮なく相談してください。

Q19.
インフオームドコンセントというのはどういう意味でしょうか?
A.

インフオームドコンセントを直訳すれば「十分な説明を受けた上での同意(患者さんの了解)」となります。医師が、治療法や薬の内容について、患者に十分な説明を施し、患者さんの同意を得た上で、治療をするというものです。患者の自覚を促し、治療の効果を上げるためにも不可欠なものといえます。
また、患者の方も、ただ薬をもらって漫然と飲むだけではなく、どんな特徴の薬で、どういう形で飲むのが一番効果的かについて、医師と十分なコミュニケーションが図られれば、薬はより大きな効果を発揮します。

Q20.
肺炎球菌ワクチンの定期接種について教えてください。
A.

肺炎球菌はヒトの喉などにいつもいる菌のひとつです。そこにいるだけでは特に問題は起きないのですが、何かの原因でそれが体の中に入り込み、悪さを起こすことがあります。その1つが肺炎です。他にも細菌性髄膜炎、敗血症、中耳炎や副鼻腔炎なども起こすことがあります。
そんな肺炎球菌による感染症を予防するうえで有用なのが肺炎球菌ワクチンの接種です。今、日本では0歳~1歳代で3回接種する定期接種と、65、70、75、80、85、90、95、100歳のどこかの年齢で1回接種する定期接種があります。これはそれぞれ違う種類のワクチンです。
健やかな子どもの成長のために、また歳を重ねて健康な生活を送るためにワクチン接種は大切です。以下の厚生労働省のリンクを参考にしてください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/pneumococcus/index.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/haienkyukin/index_1.html

Q21.
医薬品の副作用について教えてください。
A.

医薬品が目的としている効果を一般的に主作用と言います。主作用以外の、期待していない作用を一般的に副作用と言います。副作用は薬を使ってすぐに現れることもあれば、時間が経ってから現れることもあります。
副作用のない薬はありません。治療の目的をどこに置くかにより、副作用があっては困る場合、ある程度であればそのままやり過ごす場合などがあります。例えばアレルギー性鼻炎の治療薬で、鼻炎の症状が抑えられるのが主作用であり、その反面眠気があればその眠気は副作用といえるでしょう。少々眠くても鼻炎の状態がとても改善されて快適なのであればその薬はそのまま服薬を続けるという選択ができます。しかしその眠気により仕事や日常生活に多大な障害が起きるのであれば服薬は続けられない、という選択になるでしょう。
有害な副作用はそれぞれの医薬品によって違います。その情報については、『独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)』の ホームページが有用です。かかりつけの薬局あるいは薬剤師にご相談くださるのもよいでしょう。

参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構
http://www.pmda.go.jp/index.html

Q22.
抗糖尿病の薬とアルコールの関係について教えてください。
A.

考えられることは、薬の効果が増強されてしまう、あるいは副作用が増強されてしまうことです。これは、
①薬とアルコールの作用が重なるため
②薬が体の中で代謝(分解)されるときに、アルコールがそれを邪魔するため
の2つに分けられます。

①肝臓はいくつもの大切な働きをします。そのうちのひとつが食べ物などから得たブドウ糖をグリコーゲンに変えて蓄えたり、必要な時にブドウ糖に戻して血液中に出したりすること(糖新生)です。また、体に入った毒物を無害化することもします。体にとって毒であるアルコールは肝臓で無害なものに変えられますが、たくさんすぎるアルコールが体に入ると肝臓はそれを無害化するために働き、糖新生ができなくなってしまいます。他の経路で糖新生をすることもアルコールは邪魔をします。そうすると血液中に必要な糖分が少なくなる低血糖(手が震える、動悸がする、ひどい時には昏睡状態に)になってしまう恐れがあります。
ここに糖尿病の薬(血糖値を下げることを目的としている)が入ってくると、さらに血糖値が下がる、つまり薬とアルコールの作用が重なってしまうのです。

②薬も体にとっては毒物のひとつです。その薬は体に必要な働きをした後、肝臓で分解をされますが、アルコールがたくさんあるとそちらに肝臓の働きが使われ、なかなか薬の分解がされないことになります。つまり、いつまでも体の中に血糖を下げる働きの薬があることでその作用が増強されて低血糖となりやすいのです。また、糖尿薬の種類によっては副作用のひとつである乳酸アシドーシス(血液が酸性になり腹痛、嘔吐、早い呼吸、意識障害、昏睡などの症状が起きる)を起こしやすくなります。つまり、薬の分解をアルコールが邪魔することによって副作用が増強されてしまうのです。

アルコールは糖尿病の薬とあまり良い関係はありません。もちろん病気の状態そのものにも良い影響にはなりません。治療中はできるだけアルコールを避けた方がよいでしょう。

参考:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター ホームページ
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

Q23.
「メタボリックシンドローム」について教えてください。
A.

一般的にお腹周りが大きく内臓脂肪が多いだろうと思われる状態をなんとなく“メタボ”などと表現したりしますが、それは少し違います。メタボリックシンドロームは運動不足や肥満などが原因となる生活習慣病(高血圧・高血糖・脂質代謝異常)の前段階の状態です。放置すると心臓病、脳血管障害など重篤な病気を引き起こす恐れのある状態です。Metabolism(「代謝」という意味の英語)とsyndrome(「症候群」という意味の英語)を合わせた造語ですが、現在ではすっかり世の中に定着した言葉となりました。

次のサイトに詳しく記載されています。ぜひご覧になってください。

参考:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター ホームページ
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/02.html

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト ホームページ
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html

Q24.
薬によって尿の色が変わるものを教えて下さい。
A.

薬を飲むことによって、尿や便の色が変わることがあります。その原因は、①薬そのものの色や、薬の代謝物による場合と、②病気や副作用による場合が考えられます。基本的に①の場合は問題ありません。そのような薬が処方された場合は、医師や薬剤師から事前に説明があったり、薬局がお渡しする薬の説明書にその旨記載があると思います。これらの着色は、薬を飲んだ方全員に起こるわけではありません。また、必ずしもここに記した色になると決まっているわけではありません。そして、②の場合は対処が必要なので、ご自分で判断しかねる場合は、医師や薬剤師にご相談ください。

尿の色が変化する薬剤

尿の色 薬効 薬品名
赤色 鎮咳去痰薬
抗生物質
鎮痙薬
ヒベンズ酸チペピジン(アスベリン®など)
セフジニル(セフゾン®
臭化チメピジウム(セスデン®など)
黄赤色
(尿がアルカリのとき)
潰瘍性大腸炎治療薬 サラゾスルファピリジン(サラゾピリンⓇなど)
黄褐色~赤色
(尿がアルカリのとき)
下剤

糖尿病性末梢神経障害薬
センナ(アローゼン®など)、
センノシド(プルゼニド®
エパルレスタット(キネダック®
橙赤色 抗結核薬 リファンピシン(リファジン®など)、他
黄色 ビタミンB2 リボフラビン(ハイボン®、ノイロビタン®など)
暗赤色 抗トリコモナス薬 メトロニダゾール(フラジール®
黒色 血圧降下薬
抗パーキンソン薬
メチルドパ(アルドメット®など)
レボドパ(ドパストン®など)
琥珀色または黄緑色 抗アンドロゲン薬 フルタミド(オダイン®

参考)便の色が変化する薬剤

便の色 薬効 薬品名
白色
(白色の残渣も含む)
X線造影剤
抗てんかん薬
潰瘍性大腸炎治療薬
硫酸バリウム
バルプロ酸ナトリウム除放錠(デパケン®など)
メサラジン(ペンタサ®
黒色 止寫薬
鉄剤
次硝酸ビスマス
硫酸鉄(フェロ・グラデュメット®など)、クエン酸第一鉄
ナトリウム(フェロミア®など)、他
赤色 抗生物質 セフジニル(セフゾン®
橙赤色 抗結核薬 リファンピシン(リファジン®など)、他
緑色 胃炎・消化性潰瘍治療薬 銅クロロフィリンナトリウム配合剤(メサフィリン®
Q25.
薬をのんでいて味覚がおかしくなることはありますか?
A.

味覚はおもに舌で感じます。また、軟口蓋、咽頭の一部でも感じます。味覚障害の症状はさまざまで、部位的には舌の一部や片側、あるいは舌全体が味覚を感じないことがあります。その程度も濃い味でないと感じないもの(味覚減退)や、全く味を感じないもの(味覚消失)があります。さらに、本来の味を異なった味に感じること(錯味)もあります。 薬を飲んだことによっておこる薬物性味覚障害では、全体的に味を感じなくなる、あるいは一部の味が低下する症状がよく見られます。原因となる薬には降圧薬、消化性潰瘍治療薬、抗うつ薬、抗菌薬、抗 がん薬などがあります。亜鉛キレート作用(亜鉛の吸収を抑制する作用)のある薬や唾液分泌をおさえる薬に味覚障害が起こりやすいと考えられています。

原因薬剤として添付文書に記載がある薬剤については相当数あり、詳しくお知りになりたい場合は下記リンク厚生労働省HPの「重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性味覚障害編」を参照してください。
https://www.pmda.go.jp/files/000145452.pdf

いろいろな薬剤を服用している場合、発症に至る時間や症状も様々で、初期の症状を捉えることは困難なことがあります。味覚 障害がみられる場合は場合、薬を服用した後、多くは2~6週間で症状がでます。「味を感じにくい」、「嫌な味がする」、「食べ物の味が変わった」 などの症状がみられたら、医師又は薬剤師に相談して下さい。「口が乾くあるいは、食事がおいしくなくなった」などの症状も味覚障害の前ぶれかも知れません。 薬物性味覚障害では、発症後できるだけ早期に原因となる薬物を中止または変更した方が、症状の改善が見られることが多いとされています。

*参考 亜鉛の多い食品
緑茶、抹茶、カキ(牡蠣)、小魚、ココア、ごま、アーモンド、海草、玄米、そば、黄粉、卵黄、麩、椎茸など

厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性味覚障害編 (2011年)

Q26.
抗生剤と一緒に耐性乳酸菌製剤がよく処方されますが、全ての抗生剤に有効なのでしょうか?
A.

抗生物質による腸内細菌叢の変化は、下痢や軟便等の副作用を引き起こすことがあります。そのため耐性乳酸菌製剤はこのような副作用の予防あるいは治療のために使用されています。
しかし耐性乳酸菌製剤「エンテロノン®-R」「ビオフェルミン®-R」の効能又は効果に「下記抗生物質(ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸)、化学療法剤投与時の腸内細菌叢の異常による諸症状の改善」とあり、ニューキノロン剤やバンコマイシンなどは、記載がありません。したがって、ニューキノロン剤やバンコマイシン等に対しては、耐性乳酸菌製剤の使用は効果が期待できないものと考えられます。
なお、「ラックビー錠」「ラックビー微粒N」「ビオフェルミン」はビフィズス菌製剤であり、抗生剤に耐性がないため抗生剤による下痢には効果がありません。
また、「ミヤBM」は宮入菌(酪酸菌)製剤で芽胞形成するために抗生剤に耐性があり、すべての抗生剤との併用が可能となっています。

参考文献:薬理と臨床 5(11):1995~1998,1995
病院薬学 Vol.19, No.4:295~302,1993
各添付文書

Q27.
亜鉛の働きについて教えてください。
A.

亜鉛の働き
私たちの体の「酵素活性」に一番大切なミネラルはマグネシウムですが、二番目に大切なのは亜鉛です。人間の身体には、およそ1.4~2.3gほどの亜鉛が含まれています。量でみるとごくわずかですが、亜鉛は私たちが生きるうえで欠かせない栄養素です。
私たちの身体は、小さな細胞の集合体です。そして、この細胞の一つひとつが栄養をとりこみ、活動するためのエネルギーを生み出しています。細胞にはミトコンドリアと呼ばれる小器官が存在しています。このコンドリアは食事から摂取した炭水化物や脂質、タンパク質を利用してエネルギーを生産する役割を担っています。このミトコンドリアによるエネルギー生産の化学反応には、亜鉛を含んだ酵素が必要不可欠です。つまり、亜鉛は全身の細胞にとって欠かせない栄養素と言えます。

亜鉛を構成成分とする酵素の代表的な働きは以下のようなものになります。
・細胞分裂
・新陳代謝
・皮膚や髪の毛の健康を保つ
・性機能の維持
・味覚の維持
・免疫力を高める

妊娠中の亜鉛不足には要注意
人間がもっとも細胞分裂が盛んな時期は胎児期です。この時に母体からの亜鉛の供給が少ないと十分に細胞分裂が行われません。亜鉛不足により成長不良や奇形を生じる可能性があるため妊娠中は十分に亜鉛をとる必要があります。

亜鉛不足のバロメーター
・爪の白い斑点
爪に白い斑点がみられるのは、特異的特徴です。
・味覚障害
亜鉛不足による味覚障害で、口の中に苦味を感じるケースもあります。
味を感知するのは、舌の表面に分布する「味蕾(みらい)」です。味蕾は、味を感じる細胞の集合体で、この細胞は、とても短いサイクルで、次々に新陳代謝をくり返しています。亜鉛は、味蕾の細胞の形成にも関わっているため、亜鉛が不足すると、新しい味蕾を作りだすことができなくなり、味覚障害が起きて、苦味を感じることがあるのです。
血液検査だけでは亜鉛の過不足はきちんと把握できませんが、ALPや亜鉛が低値の方は、亜鉛欠乏かもしれません。

亜鉛の1日の推奨摂取量
厚生労働省の報告によると、亜鉛の1日の推奨摂取量は、成人の男性で1日10mg、成人の女性で1日8mgです。

亜鉛が多く含まれる食品
・亜鉛は食品の中でも特に牡蠣に豊富に含まれています。男性ならば大き目の牡蠣4個、女性ならば3個ほどで1日に必要な亜鉛の推奨量を摂取することができます。
・牛肉やレバー、卵黄などにも亜鉛は多く含まれています。亜鉛不足を感じたら牛肉やレバーを摂取するとよいかもしれません。豚レバーの場合は、レバー串1本でおよそ30gになります。1本食べると2mg以上の亜鉛を摂取できるのでおすすめです。
・豆類、木の実には亜鉛が比較的豊富に含有されているため、ベジタリアンの人にとっては有効な摂取源です。間食を松の実などのナッツ類にしたり、大豆製品を意識して摂取したりするようにしたら、亜鉛をたっぷりと摂取できるでしょう。
・乳製品にも亜鉛は多く含まれています。特に水分の少ないチーズには亜鉛が豊富に含まれているため、小腹が減った時に食べるとよいでしょう。一般的に想定される6ピースに分かれたプロセスチーズは、一個当たりおよそ20gなので、亜鉛に換算すると0.6mgほどです。2個食べると1.2mgとなり、良質な亜鉛の摂取源となります。ただし、高カロリーな食材でもあるため食べ過ぎは禁物です。

参考 「ココロの不調回復 食べてうつぬけ 〜鉄欠乏女子(テケジョ)を救え〜」
医療法人山口病院精神科部長 奥平智之先生著 (主婦の友社)

Q28.
貧血について教えてください。
A.

・貧血の種類と原因
貧血になると疲れや動悸、息切れ、頭痛、めまいなどの症状が現れます。しかし、原因によっては緩やかに進行するため自覚症状がわかりにくいケースがあります。ですから、まずは貧血の種類や原因を知ることで、貧血の可能性を意識することが大切です。そもそも、貧血とは血液中の赤血球やヘモグロビンが不足することで起きる症状とされています。ヘモグロビンは赤血球の中にある成分の1つで、鉄分が主要な成分です。
このヘモグロビンは、体中に酸素を運ぶ働きがある大切なものですが、なんらかの病気でこれが減ることで細胞に行き渡る酸素が減ってしまい、めまいや動悸などが症状として現れるといわれています。   

・鉄欠乏性貧血について
数ある貧血の中で、およそ60~80%を占めるのが「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる種類の貧血とされています。鉄欠乏性貧血は、偏食や欠食、ダイエット目的の食事制限など、食生活の乱れにより鉄分が不足しヘモグロビンが作られなくなった結果、貧血症状を示す病気です。また、特に女性では、妊娠中や授乳期、成長期などで鉄が不足したりするため、この貧血に陥りやすい傾向があるといわれています。他にも、この鉄欠乏性貧血では、生理過多や痔、がんなどによる消化管からの出血が原因の場合もあります。   

・悪性貧血
赤血球が作られるためにはビタミンB12や葉酸が不可欠ですが、これらの栄養が不足することで貧血になってしまう場合があり、これが「悪性貧血」と呼ばれる貧血です。この悪性貧血は、巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)と呼ばれることもありますが、不足している成分ごとに、ビタミンB12欠乏症貧血や葉酸欠乏性貧血などの種類に分類されます。以下に、ビタミンB12欠乏症貧血や葉酸欠乏性貧血について説明します。   

・ビタミンB12欠乏性貧血
ビタミンB12欠乏性貧血は、その名の通りビタミンB12の欠乏が原因で貧血症状が現れる病気です。本来、ビタミンB12は、胃で吸収されて赤血球生成の材料になるわけですが、胃がんなどで胃が切除された場合などには、ビタミンB12は体に吸収される機会が失われてしまいます。結果として、赤血球が作られず貧血になってしまいますが、ビタミンB12欠乏性貧血は、まさに、そのような状況が原因で発症する貧血です。   

・葉酸欠乏性貧血
葉酸欠乏性貧血は、体内の葉酸が失われて貧血が発症する病気です。基本的に、葉酸は通常の食生活を送っていれば不足することはあまりないといわれています。しかし、ダイエットや偏食、アルコールの取りすぎなどにより不足すると赤血球が作り出せなくなり貧血になる場合がありますが、葉酸欠乏性貧血は、そのような状況による貧血です。   

・溶血性貧血
健康な人の赤血球の寿命は120日程度といわれていて、とくにアクシデントがなければこの期間に貧血を起こすことはないでしょう。ところが、外的な刺激などで赤血球が壊れてヘモグロビンが流れ出してしまうと、貧血になる場合があります。このような貧血は溶血性貧血と呼ばれ、マラソン選手や長距離歩行のスポーツ選手に起きることが多いといわれています。   

・再生不良性貧血
再生不良性貧血は、血液を作るために重要な役割をもつ骨髄の働きが低下することで、赤血球を含む血球が作られなくなる病気のことです。難病に指定されている病気ですので、この貧血についてはドクターの指示にしたがって治療を行う必要があります。このように、貧血にはさまざまな種類があります。セルフチェックで原因を判断するのは難しいので、気になる方は、医療機関での検査をおすすめします。   

・貧血になりやすい人
貧血はさまざまな要因で引き起こされる症状ですが、基本的には鉄分やビタミン、ミネラルが不足したり、出血が多かったりすることで起きる場合がほとんどです。つまり、日常的にそれらが不足するような生活を送っている人は、貧血になりやすい傾向があるといわれています。具体的には、肉類や魚などの動物性食品を摂取しない人や、ジャンクフードやファストフードを中心とした食生活を送っている人は貧血になりやすい傾向があります。
また、消化器系の疾患(胃・十二指腸潰瘍、胃がん、大腸ポリープ、大腸がん)の患者さんや生理過多、妊娠や授乳中の女性は、血液を失う機会が多く、貧血になりやすいと言えるでしょう。   

・貧血のサイン
貧血は爪に出やすいです。爪が白かったり縦すじが入っていたり、薄っぺらく反り返りがある場合は血液データで貧血と言われなくても鉄が足りていない可能性があるので注意が必要です。
また、アカンベェをした目の下の粘膜が白くなります。
確認してみてください。   

・貧血の予防方法
貧血を引き起こす原因としては、多くの場合鉄不足といわれています。鉄分は体内で生産することができない成分なので、貧血を予防するには鉄分を食事で摂取することが重要です。食品に含まれている鉄分は2種類あり、植物性食品には「非ヘム鉄」が、また、動物性食品には「ヘム鉄」と呼ばれる鉄分がそれぞれ含まれていることが多いとされています。この2つの鉄分を比べたときに、非ヘム鉄の吸収率は2~5%なのに対し、ヘム鉄の吸収率は15~25%と大きく違っています。
そのため、食品から鉄分を効率よく吸収するためには、肉や魚などで体への吸収率の高いヘム鉄を効率的に摂取することをおすすめします。また、鉄分そのものだけでなく、鉄分の吸収率を高めるビタミンCや、ビタミンB12、葉酸なども積極的にとり入れると、さらに、高い予防効果が期待できます。食事の際にはゆっくりと時間をかけてよく噛んで、胃液の分泌量を増やしておくと吸収率も高まるといわれています。
逆に、コーヒーや紅茶に含まれているタンニンと呼ばれる成分は鉄の吸収率を下げてしまいます。ですから、貧血の症状が気になる人は、これらの飲み物を食後に飲まないように心がける必要があります。   

参考「ココロの不調回復 食べてうつぬけ 〜鉄欠乏女子(テケジョ)を救え〜」
医療法人山口病院精神科部長 奥平智之先生著 (主婦の友社)   

Q29.
トイレが近いのですが、お薬はありますか?
A.

トイレが近くなる原因疾患のひとつに「過活動膀胱(overactive bladder:OAB)」があります。
40代以降の男女に多く見られ、現在日本では800万人以上が悩んでいるとされていますが、若い人にも起こります。このOABについて説明いたします。

・薬物療法に使用する主なお薬は2種類です。
①抗コリン薬…自分が意図しないタイミングで膀胱が収縮することを抑えます。副作用に、便秘、口渇、残尿があります。
②β3刺激薬…膀胱を弛緩させ、蓄尿機能を高めます。副作用に、γ-GTP上昇、便秘のほか、心拍数増加などがあります。

・薬物療法以外の方法もあります。
①膀胱訓練
トイレに行く間隔を延ばして、膀胱の容量を増やす訓練です。
②骨盤底筋体操
尿道を締める骨盤底筋の収縮力を高める訓練です。
*咳やくしゃみをしたときに尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」の治療に行いますが、「切迫性尿失禁」にも有効です。

参考 日本臨床内科医会ホームページ

Q30.
「インクレチン」とは何ですか?
A.

同量のブドウ糖を経口投与した場合と静脈投与した場合、どちらがインスリンの分泌が多いと思いますか?答えは、経口投与です。えっ!?と思われた方もおられるでしょうが、実は消化管ホルモンが関係しており、そのホルモンがインクレチンなのです。インクレチンには、GLP-1*とGIP**があります。GLP-1は小腸と大腸の「L細胞」から放出され、GIPは十二指腸の「K細胞」から放出されます。
GLP-1の主な作用としては、ブドウ糖濃度依存性インスリン分泌促進作用、ランゲルハンス氏島β細胞増殖作用、グルカゴン分泌抑制作用、胃排泄能抑制作用、中枢性食欲抑制作用などがあります。GLP-1を分泌するL細胞は小腸にも大腸にも存在し、食物繊維が腸内バクテリアによって分解されたときに作られる有機酸(短鎖脂肪酸)がGLP-1の放出を刺激することが解明されました。しかし実際のGLP-1は分泌されるとすぐに酵素DPP-4***により分解され失活し、血中半減期は5分程度とされています。そこで、DPP-4阻害薬が臨床的に意味をもつのです。脂肪もL細胞からGLP-1を放出させますが、肉に多くある「飽和脂肪酸」や植物油・魚の「不飽和脂肪酸」よりも、オリーブオイルにあるオレイン酸のような「モノ不飽和脂肪酸」が、機序はまだ良く分かっていませんが、一番効果的にGLP-1を放出させたという報告があります。またGLP-1は、血糖値が低いときはインスリン分泌を刺激しないという特徴があるので、単独では低血糖のリスクが低いといえます。
近年、経口糖尿病薬やインスリン製剤、そして今回のような新しいタイプの薬剤の開発が進み、患者の病態に合わせた併用薬の多様化が進んでいます。しかし忘れていけないのは、どんなにすばらしい薬剤が開発されたとしても、2型糖尿病において最も重要なのは正しい食事療法と適切な運動療法を行うことが治療の基本であることに変わりがないということです。

・GLP-1*:glucagon-like peptide-1
・GIP**:glucose-dependent insulinotropic polypeptide
・DPP-4***:dipeptidyl-peptidase-4

参考文献:
・糖尿病治療薬・糖尿病合併症治療薬 横田 太持ら 医薬ジャーナル Vol.43, S-1,

<薬剤師向け>
日本糖尿病学会から「インクレチン関連薬の適正使用に関するRecommendation」が発信されているのでチェックしておく必要があります。

Q31.
糖尿病治療薬のDPP4阻害薬について、教えてください。
A.

DPP4とは、dipeptidyl peptidase-Ⅳの略で、血中でのインクレチン分解酵素です。インクレチンとは、食事の摂取により消化管から分泌され膵臓からのインスリン分泌を促進するホルモンです。現在、小腸上部から分泌されるGIP( glucose-dependent insulinotropic polypeptide )と、小腸下部から分泌されるGLP-1( glucagons-like peptide-1 )の2つが知られています。膵臓では共に、膵β細胞膜上の受容体を介してインスリンの分泌促進を発現します。このインスリン分泌の増強はグルコース濃度に依存的であるため、血糖値が高いときは分泌が促進され、低い場合は分泌が増加しませんので、血糖値を下げ過ぎないことが特長であるといわれています。また動物モデルでは、膵β細胞の増殖を促進したり、細胞死を抑制することが示されています。しかし膵臓以外では、2つのインクレチンは違う作用を示しています。GLP-1は消化管における胃排泄遅延作用や中枢神経系に対する食欲抑制作用を有するため、体重減少につながり、GIPは脂肪細胞に直接働いてグルコースや脂肪酸の取り込みを促進し、脂肪を蓄積するため、体重増加につながります。
インクレチンの多くは、分泌後にDPP4によって速やかに分解されます。DPP4阻害薬は、インクレチンを分解する酵素であるDPP4の働きを阻害することによって、インクレチンが分解されないようにする薬剤です。
現在DPP4阻害薬は、シタグリプチン、ビルダグリプン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン、サキサグリプチン、トレラグリプチン、オマリグリプチンと発売されています。それぞれに特徴があります。
副作用の一つである低血糖については、単独では頻度は低いですが、血糖降下薬であるグリメピリドなどのSU剤との併用においては頻度が高くなるため、併用時には注意が必要です。

Q32.
メトホルミンの有用性について教えてください。
A.

1995年の米国における多施設での肥満を伴う2型糖尿病患者に対するメトホルミンの有用性を示す試験結果(MuIticenter Metformin Study)、1998年の英国における肥満傾向を有する2型糖尿病に対するメトホルミンの心筋梗塞の発症や死亡率の抑制効果を確認したUKPDS、これらの結果が、欧米においてメトホルミンが経口血糖降下薬の中で第一選択薬となる重要な契機になりました。UKDS終了後の10年間の追跡成績においてもメトホルミン投与群は慢性合併症抑制効果、心筋梗塞、総死亡のいずれにおいても有意な抑制効果が認められました。
わが国でも2002年にメトホルミンの安全性有効性を検証する試験が行われました(MOREstudy)。結果は血糖改善効果が認められ、用量依存的にHbA1cの低下が認められました。
その後、2010年5月に1日維持量750㎎~1500㎎、1日2250㎎まで投与できる製剤も発売され、欧米並みの投与量が可能となりました。2014年には、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の結果を受けて10歳以上の小児に対する適応も認められました。
ただし高齢者への使用については注意が必要で、日本糖尿病学会の「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」もチェックしておく必要があります。

参考資料
「糖尿病の薬学管理必携 糖尿病薬物療法認定薬剤師ガイドブック」日本くすりと糖尿病学会 2017.11 発刊
メトホルミンの適正使用に関するRecommendation
http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/recommendation_metformin.pdf

Q33.
糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬について、教えてください。
A.

SGLTとは、sodium glucose cotransporter(sodium glucose transporter)の略で、「ナトリウム・グルコース共役輸送体」と呼ばれるタンパク質の一種のことです。SGLTは、体内でグルコース(ブドウ糖)やナトリウムといった栄養分を細胞内に取り込む役割を担っています。その中で専らSGLT2は、グルコースを栄養分として細胞内に取り込む役割を担っています。
健康な人の腎臓では、SGLT2の働きによって、血中グルコースのほとんどが再吸収され、尿糖は排泄されません。ところが高血糖状態では、SGLT2の再吸収能を超えた分のグルコースが尿糖として排泄されます。‘尿に糖が混ざる’という現象は、「糖尿病」という病名の由来でもあるわけですが、その現象はSGLT2の働きの限界を示すものと言えますし、また同時に、この現象は多少なりとも高血糖の緩和に寄与しているとも言えます。
しかし糖尿病ではSGLT2の発現が増加していることがわかっています。つまり、高血糖の緩和という観点では尿糖排泄が増えたほうが有利なのにもかかわらず、逆に血糖値をより高いレベルに維持するような悪循環が作られてしまっているわけです。
SGLT2阻害薬はその名のとおり、SGLT2の働きを阻害する薬剤です。SGLT2の働きを阻害すると、グルコース再吸収が減り、その分だけ尿糖の排泄が増えます。その結果、高血糖が改善されます。 また、使用するにあたっては、低血糖や脱水、尿路感染症などに注意を払う必要があります。

また近年、心不全による入院率や死亡率を減少させるという、興味深い効果もわかってきました。今後、糖尿病以外にも処方される可能性のあるお薬です。

Q34.
片頭痛治療薬について教えてください。
A.

片頭痛は女性に多く起こり、男性の3倍以上ともいわれており、特に30代から40代の女性の有病率は約20%にのぼります。発作が起こると拍動性の頭痛に苦しみますが、それ以外にも悪心、嘔吐、光過敏、音過敏がよくみられ、診断基準にも記載されています。その他にめまい感、無力感、脱力感、気分の変調、離人感などもおこり、著しく身体活動が制約されてしまいます。
日本頭痛学会の慢性頭痛診療ガイドライン2013によると、片頭痛急性期治療薬には、1-アセトアミノフェン、2-NSAIDS、3-エルゴタミン製剤、4-トリプタン系薬剤、5-制吐剤があり、片頭痛の重症度に応じた層別治療が推奨されています。すなわち、軽度~中等度の頭痛にはNSAIDS、中等度~重度の頭痛、または軽度~中等度の頭痛でも過去にNSAIDSの効果がなかった場合にはトリプタン系薬剤が推奨されています。また薬剤使用方法(タイミング、使用量、使用頻度)、妊娠中や授乳中の対応には注意が必要であり、いずれの場合も制吐薬の併用は有用とされています。
トリプタン系薬剤として現在内服薬5剤(スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン)と外用剤としてスマトリプタンの注射薬と点鼻薬が市販されています。作用メカニズムは、血管壁の5-HT1B受容体の刺激により拡張した硬膜血管を収縮させ、また三叉神経の5-HT1D受容体に作用して過敏になった三叉神経を鎮静、正常化させることにより硬膜の三叉神経血管系の神経原性炎症を抑制すると考えられています。
副作用は一過性の喉や頚部の締め付け感、めまい感などがあります。この他に身体各部の痛み、悪心・嘔吐、動悸、倦怠感、眠気などが報告されています。トリプタン系薬剤には血管収縮作用があるので、虚血性心疾患や血管障害には要注意で、心筋梗塞、虚血性心疾患、脳血管障害、一過性脳虚血性発作のある患者、コントロールされていない高血圧の患者には使用できません。また悪心・嘔吐や眠気はトリプタン系薬剤の副作用として記載されていますが、片頭痛の随伴症状でもありますので、片頭痛の症状か薬剤の副作用の症状かの区別に注意が必要です。
服薬タイミングですが、痛みが中等度以上になることが予測される片頭痛発作では、頭痛がひどくなるまで服薬を待つ必要はなく、なるべく早期に使用したほうが高い有効性が示されています。また手のしびれ感など皮膚アロディニアが出現するとトリプタンの効果が得られにくくなるとの報告があり注目されています。ですから至適な服薬タイミングは、頭痛が始まってなるべく早期に、軽度の頭痛時でアロディニアが発現する前が良いとされています。前兆および発作の時刻とその症状、薬の服用時間とその後の経過などを記録し、最も良いタイミングを主治医と共に見つけ出すことが大切です。
複数のトリプタン剤をどう使い分けるかについては、個々の薬理学的特性には差異があり、効果も患者さんによって一定ではないため一概に言及するのは難しいのですが、Tmaxが最短のスマトリプタン注射薬は、偏頭痛重積発作や内服のタイミングを逃してしまった場合に有用であり、点鼻薬は悪心嘔吐のため内服が難しい時に有用です。また、ナラトリプタンは半減期が一番長いので有効時間が長いと考えられ、それぞれに合った薬剤を選ぶと良いでしょう。
また、日本頭痛学会のホームページ(http://www.jhsnet.org)には「頭痛ダイアリー」の見本が掲載されています。受診の際の医師の判断材料としてや、自分の状態を客観的見るのに役立つので利用されると良いと思われます。
参考文献:
・慢性頭痛診療ガイドライン,日本頭痛学会,2013
・特集 女性の片頭痛,薬局,Vol.58, No.7, 2007

Q35.
高山病の予防について教えてください。
A.

高山病(High Altitude Illness とは、2000m以上の高地で酸素が欠乏することによって引き起こされる障害です。ただし高齢者においては、1500m以上を高地と考える必要があります。
高山病は、①山酔い(AMS;Acute Mountain Sickness)、②高所肺浮腫(HAPE;High-Altitude Pulmonary Edema)、③高所脳浮腫(HACE;High-Altitude Cerebral Edema)の3つに分けられます。
山酔いは、急性高山病と訳されることもあります。
山酔いは、高山病の初期症状です。通常は高地に着いて4~12時間以内に発症し、頭痛、吐き気、嘔吐、疲労感、脱力感、立ちくらみ、めまい、睡眠障害などが起こることがあります。症状は24~36時間続きます。山酔いはより重症な高山病に進行することもあります。
高所肺浮腫は、数時間の間に軽い症状から命に関わる症状に進行することがあります。症状は、しばしば高地に着いてから2日目の夜に発症し、夜間に悪化して重症型に進行していきます。安静時でも呼吸困難となり、血痰、微熱、チアノーゼなどが起こることがあります。
高所脳浮腫では、最初は軽いタイプの高山病と同じ症状を示しますが、数時間以内に軽い症状から命に関わる状態にまで急速に進行します。頭痛、精神錯乱、運動失調がおき、やがて昏睡状態となって、死亡することがあります。
高山病を予防するには、ゆっくり登るのが最良の方法です。時間をかけて徐々に高度を上げていけば、空気の薄い状態に体が慣れます。またアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)が高山病予防に有効であるといわれています。用法・用量は、「1回125mgを1日2回、到着前日から4日間服用」が一般的投与法と言われていますが、まだ至的投与量の比較検討はされていません。また本邦では、予防投与は保険診療とはなりませんので、実費となります。
アセタゾラミドの高山病予防の主作用は、①脳血管を拡張し、血流量を増加させ、脳の酸素不足を改善する。②呼吸中枢刺激剤として全身の低酸素状態を改善する。の2つといわれています。
国際登山医学会では、予防としてのアセタゾラミドは例外を除き、勧めていません。例外とは①救助などで急激に高度を上げなければならない人、②過去に何度も高山病を経験した人、③夜間の周期性呼吸で睡眠を妨げられる人、です。またスルホニルアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者が禁忌とされていますので、注意が必要です。

Q36.
接触性皮膚炎について教えてください。
A.

接触性皮膚炎(俗称:かぶれ)は、通常、一次刺激性接触皮膚炎(ICD,Irritant Contact Dermatitis)とアレルギー性接触皮膚炎(ACD,Allergic Contact Dermatitis) の2つに分けられます。ICDは原因物質に触れたら誰でも起こり、原因物質の毒性の強さによって、症状の強さが決まります。ACDは原因物質に対してアレルギー的に感作された人だけ起こり、原因物質の毒性の強さと症状の強さは相関しないようです。一般にいうかぶれはACDを指すことが多く、かぶれはアレルギーのある人のみ生じ誰にでも起こるわけはないということです。
症状は、掻痒を伴う発疹が、原因物質の接触した部分に出現します。発疹の特徴として、発赤・水泡・びらんなどの湿疹の経過をたどる皮膚炎です。また接触性皮膚炎症候群という病態があり、原因物質の接触した以外の部分にも湿疹が広がることで、掻いて広がる場合をいいます。これがさらに全身に広がることがあり、自家感作性皮膚炎と呼ばれます。
原因物質としては、化学製品、食物、植物、金属、衣料品、ゴム製品、その他に分類され、比較的気づきやすいものは、化粧品、接触した植物、湿布薬、職場で使用する化学薬品などです。比較的気づきにくいものは、革製品などの衣類、洗い流してしまうシャンプーや洗浄剤、傷口に使う消毒薬、化粧の際に使うビューラーによる金属アレルギーなどがあります。
診断および検査は、ICDは、アレルギーとは無関係なため、特に検査を行うことはありません。ACDの診断ポイントとしては、まず発症前に新しく皮膚に接触したものはなかったか、化粧品や装飾品で変わったものはないかということから始めますが、今まで問題がなかった物質でも、あるときからダメになることもある、ということを患者に十分説明することが大切です。ACDの確実な診断は貼布試験(パッチテスト)で、疑わしい物質を皮膚に貼付し、48時間後に皮膚の反応を見るという検査です。Ⅳ型アレルギーの代表的な検査法であり、陽性反応は、紅斑・浮腫・小水泡などの湿疹が貼付した部分にできます。(あくまでⅣ型アレルギーなので好酸球やⅠgEは関与しません。) 金属アレルギーの場合は1週間たって陽性反応が出ることもあるため、診断に時間がかかります。
治療は、原因物質の被爆を防ぐことが重要です。その上で、ステロイド薬を中心とする外用剤を湿疹の部分に使用します。痒みが強い場合は、抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の内服薬を使用します。発疹の症状が強い場合や自家感作皮膚炎の場合は、ステロイド内服薬や注射薬等、全身投与が必要になることもあります。患者様の中には、軟膏を塗る時はゴシゴシすり込んだほうが良いと思い込んでおられる方が多いですが、すり込むと炎症やカユミがひどくなるので、手のひらや指の腹で薄く軟膏を広げるような気持ちでやさしくのばすようにしましょう。 (ステロイドの塗布量についてはFTUについて知っておくと良いでしょう)

Q37.
ジェネリック(GE)医薬品の比較検討できるホームページはありますか?
A.

後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。後発医薬品を普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するものです。(厚生労働省ホームページより)
そこで有効成分が同じ医薬品(例えば、先発品とジェネリック医薬品)間の場合、治療(生物)学的に同等であるとは、“体循環血中に入る薬物の速度と量”が同等である、つまり、吸収される“薬物量と薬物濃度が同等である”ことが必要になります。
従って、薬物量としてのAUC(薬物血中濃度-時間下曲線面積)と薬物濃度としてのCmax(最高血中濃度)が同等である場合、両製剤は“生物学的に同等である”とされており、製薬会社は承認申請資料においてそのデータを厚生労働省に提出し、それが生物学的に同等であると認められた医薬品が販売されているのです。

いくつか紹介いたします。
「ジェネリック医薬品品質情報検討会」
「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会」
「オレンジブック総合版」
「日本ジェネリック製薬協会」
各企業のホームページ

一般の方には難しい内容もありますので、かかりつけ医師、薬剤師にご相談ください。

Q38.
シイタケ皮膚炎について、教えてください。
A.

シイタケは、食用キノコとして日本人の食生活に欠かせない食材であり、現在、ほだ木による人工栽培が行われています。栄養学的にはビタミンDの前駆体であるエルゴステロールの含有量が多いほか、ビタミンB群、ミネラル、食物繊維なども豊富に含まれています。しかし、シイタケを食べた後に皮膚炎が生じることがあり、シイタケ皮膚炎と名前がついていることは、あまり知られていないようです。
シイタケ皮膚炎は、生あるいは加熱の不十分なシイタケやシイタケの抽出エキスを摂取後、 だいたい当日から翌日に生じます。臨床的には、全身に掻破痕に一致する線状の紅色皮疹を特徴とし、必ず強い痒みを伴います。手背や手指に多数の漿液性紅色丘疹を認めることもあります。発熱、神経症状、消化器症状はなく、全身状態は良好です。
干シイタケや煮シイタケによるものはまれで、ほとんどが十分に加熱されないまま食べることの多い焼きシイタケで発症することから、原因は生シイタケ中の加熱により容易に破壊される物質、あるいはシイタケから熱水抽出される物質が推測されています。またシイタケ子実体から熱水抽出、精製された抗腫瘍性多糖体のレンチナンが有力視されていますが、レンチナンによる皮疹は点状出血ですが掻痒を伴わないことなどから、特定されるまでには至っていません。
治療は、抗ヒスタミン薬あるいは抗アレルギー薬の内服とステロイド外用剤とを対症的に投与するのが一般的で、症状が重篤な場合はステロイド薬の短期間内服が追加されます。だいたい数日以内に治癒します。抗ヒスタミン薬あるいは抗アレルギー薬内服中は眠気に注意しましょう。
その他に、シイタケ胞子吸入による過敏性肺炎やシイタケによるイレウス(腸閉塞)が報告されています。

Q39.
水虫(足白癬)の治療薬について教えてください。
A.

皮膚真菌症に含まれる足自癬(通称:水虫)は、人口の4人に1人は感染していると言われています。原因菌(T.rubrumとT.mentagrophytesの2菌種で全体の約90%を占めると言われています。)は、皮膚糸状菌(自癬菌)と呼ばれ、皮膚の角層、毛、爪などのケラチン組織を好んで寄生します。
原因真菌が角層に存在する場合は、外用療法が第1選択となりますが、角層が非常に厚い場合や原因真菌が爪や毛に寄生している場合は、外用抗真菌薬が十分に浸透しないため、経口抗真菌薬の内服療法が必要となります。また現在、爪白癬に使える塗り薬もあります。
外用抗真菌薬の剤形には、軟膏・クリーム・液・ゼリー・スプレーなどがあり、症状に応じて使用されています。いずれにしても、自己判断で違った薬を使用すると症状が悪化することもありますので、皮膚科などの専門医で診察を受け、正しい治療薬を使用することが大切です。
以下に、主な抗真菌薬を記載します。 (2018年7月現在)

表:抗真菌薬一覧(医療用、OTC薬)
系 統 一 般 名 医療用商品名 OTC商品名
チオカルバミン酸系 リラナフタート ゼフナート  
  トルナフタート ハイアラージン コザック
イミダゾール系 ケトコナゾール ニゾラール  
  ルリコナゾール ルリコン  
  ラノコナゾール アスタット ウインダム
ゼスパート
  クロトリマゾール エンペシド スコルバ
ピロエースW
  ミコナゾール硝酸塩 フロリードD ダマリンL
  エコナゾール硝酸塩   新ポリカイン
  オキシコナゾール硝酸塩 オキナゾール  
  スルコナゾール硝酸塩 エクセルダーム エクシプ
  ビオナゾール マイコスポール  
  ネチコナゾール塩酸塩 アトラント  
  エフィナコナゾール クレナフィン  
ベンジルアミル系 ブテナフィン塩酸塩 ボレー
メンタックス
ブテナロック
ラマストン
スコルバ
アリルアミン系 テルビナフェン塩酸塩 ラミシール ラミシールAT
モルホリン系 アモロルフィン塩酸塩 ペキロン ダマリン
その他 シクロピロクスオラミン   ラマストン
Q40.
禁煙治療について教えてください。
A.

喫煙はわが国のような先進国において疾病や死亡の原因の中で防ぐことの出来る単一で最大のものであり、禁煙は今日最も確実にかつ短期的に大量の重篤な疾病や死亡を劇的に減らすことのできる方法です。すなわち、禁煙推進は喫煙者・非喫煙者の健康の維持と莫大な保険財政の節約になり、社会全体の健康増進に寄与する最大のものと言っても過言ではありません。
現在使用されている薬物療法には3種類あり、下記に、それぞれの薬剤の特徴を示します。禁煙薬物療法は、ニコチン製剤によるニコチン置換療法とニコチンを含まない飲み薬があります。ニコチンを含まない飲み薬バレニクリンについて説明しますと、次の2つの作用が禁煙効果を高めています。①α4β2ニコチン受容体を部分的に刺激し、少量のドパミンを放出させることによって禁煙に伴う離脱症状やタバコに対する切望感を軽減します。(作動薬作用)②α4β2ニコチン受容体にニコチンが結合するのを阻害するため、バレニクリンを服用中に再喫煙した場合には、喫煙による満足感を抑制します。(括抗作用)
医療機関での費用については、自己負担が3割の人は、使用する薬にもよりますが、約3ヶ月の治療スケジュールで、1万3,000円~2万円程度です。(医療機関にお問い合わせください)

表:各禁煙治療剤の特徴
ニコチンガム ニコチンパッチ バレニクリン
・薬局来店での購入のみ。
・タバコを吸いたくなったときに1個をゆっくり噛む。
・標準的な用量は、1日4~12個を4週間使用し、その後1週間ごとに1日あたり1~2個ずつ減量。原則3ケ月で終了。
・主な副作用は、嘔気、咽頭刺激など。
・保険診療、及び薬局薬店で購入できる。
・肩、胸、腕などに貼り、1日1回張り替える。
・標準的用量※(医療用)は、30cm2製剤を4週、20cm2製剤を2週、10cm2製剤を2週使用。
・主な副作用は、かぶれ、不眠など。
・保険診療のみ、使用可能。
・決められた薬剤を、1日1~2回服用する。
・標準的用量は、禁煙開始1週間前から行い、1~3日は0.5mgを1日1回、4~7日は0.5mgを1日2回、8日以降は1mgを1日2回投与し、投与期間は12週間で終了。
・主な副作用は、嘔気、不眠症、異常な夢、頭痛、鼓腸など。
Q41.
スポーツ選手ですが、飲んではいけない薬について教えてください。
A.

「ドーピング」とはスポーツ選手が運動能力を高めるため、禁じられた薬物を用いることをいいます。
多くの選手が正々堂々と競技しますが、意図せずしてドーピングしてしまうことがあります。「うっかりドーピング」といいます。そこで、日本薬剤師会では、「うっかりドーピング」の防止を目的として、薬剤師のアンチ・ドーピング活動への参画を進めており、国体開催地の薬剤師会が行うアンチ・ドーピング活動への協力等を行っています。
その一環として、今般、多くの方々にご協力頂き、「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2017年版」を作成しています。日本薬剤師会ホームページのアンチ・ドーピング活動をご覧ください。
また、アンチ・ドーピングに関する情報は、
世界アンチ・ドーピング機構(WADA)
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)
日本体育協会
のホームページも合わせてご参照下さい。

「スポーツファーマシスト」について
スポーツファーマシストとは、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師です。
①国民体育大会に向けての都道府県選手団への情報提供・啓発活動 等
②学校教育の現場におけるアンチ・ドーピング情報を介した医薬品の使用に関する情報提供・啓発活動 等
を主な活動としております。スポーツファーマシストホームページよりあなたの街のスポーツファーマシストを検索することができます。

Q42.
高齢者への投与を避けるべき薬剤について教えてください。
A.

高齢者が副作用の影響を受けやすい理由はいくつかあります。
①年齢とともに、体内の水分が減少し、脂肪組織の量が増加します。そのため高齢者では、薬の体内での分布が変化します。
②加齢に伴い、腎臓では薬を尿中に排泄する能力が低下し、肝臓では薬を分解する能力が衰えます。その結果、薬が体から除去されにくくなります。
③高齢者は通常、多くの病気にかかっているため、薬が多くなりがちです。また慢性的な病気が多く、長期に渡って服用することになります。
④多くの薬を服用することで、薬物相互作用(薬どうしの飲み合わせ)の危険性が高くなります。

つまりは、老化に伴う体の機能低下により、薬の影響を受けやすくなります。それなのに薬が増えることによって、さらに薬物有害事象が発生する可能性が高くなります。そのため、薬の使用は慎重に行う必要があります。(例えば、鎮静剤や睡眠剤による、認知能力の低下、転倒、骨折の危険性の増加、などがあります)
日本老年医学会ホームページにて「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の全文が一般向けに公開されています。是非ご覧になってください。

Q43.
医療用漢方エキス剤などの漢方薬は、通常食前または食間に飲むように言われますが、服用を忘れることがよくあります。食後に飲んでもいいですか?
A.

医療用漢方製剤は、1日2~3回に分け、食前または食間(食後2時間)に服用することが原則とされています。このように食前あるいは食間といった空腹時の服用を勧める理由として、従来は漢方薬の吸収効率があげられてきました。しかしそのような事実を示す明瞭な根拠はありません。ただ古来より幾多の経験を積み重ねてきた漢方医学の歴史の中で、空腹時投与がいつの時代からか行われ、現在まで伝えられてきました。そこで空腹時投与の意義について、考えてみます。
まず漢方薬の主成分には配糖体が多いことがあげられます。これらには糖がついているので、水溶性に優れている反面、リン脂質からなる細胞膜を通過することが困難であることが多いようです。そこで、実際に吸収されるためには下部消化管に棲む腸内細菌によって、糖が切り離されて脂溶性が高められる必要があります。そのため空腹時に投与したほうがより早く下部消化管へ到達し、より効率よく薬効が現れやすいと考えられています。
次に主成分としてアルカロイドを含むものがあることがあげられます。これらの過量投与は有害作用をもたらす可能性があります。アルカロイドは吸収されるときに、pHが大きく関与することが明らかとなっています。アルカロイドはアミノ基を有する塩基性の化合物ですので、pHが高いほど脂溶性が高まり吸収されやすくなります。ですから副作用の観点に立てば、アルカロイドの吸収を緩徐にするために胃内pHを低い状態にすることが良いと考えられています。
また漢方薬には特有の味や香があることもあげられます。この苦み、辛味に加えて独特の香りは、消化管の蠕動運動を高め、胃酸分泌を亢進させ、食欲を増進させるという理由から、もっぱら健胃薬として用いられてきた経緯があります。
服薬コンプライアンスの悪い患者様に対する対応ですが、まず食前または食間に漢方薬を服用することの意義を十分に説明することが重要と思います。それでも悪い場合は、飲み忘れた場合は食後に服用しても良いことを説明します。薬の効果は服用してはじめて発揮されますから、まずはしっかり内服されることが重要です。ただし、その場合は、副作用の発現にいっそう注意が必要となります。

Q44.
アドヒアランスについて教えてください。
A.

今まで服薬状況を判断する言葉として、「コンプライアンス」が使われてきました。「コンプライアンス」とは、もともと「(要求・命令などに)従うこと、追従、へつらい、法令順守」という意味ですので、「医療者(医師や薬剤師など)からの指令にどの程度従うか」という、患者側にとって、受動的なニュアンスが含まれていました。そこで近年、アドヒアランスという言葉が使われてきています。アドヒアランスとは、直訳すると「密着・粘着・執着・固執・愛着など」で、医療現場で使う際は、「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を実施・継続すること」とされています。
これまで医薬品の服用を規則正しく守らない「ノンコンプライアンス」の問題は、患者側にあると強調されていたが、実際にはそれだけでないことが見えてきました。例えば、剤形が飲みにくかったり、服薬回数が多かったりといったような治療内容による要因や、薬剤師などの医療者が薬物治療に対する知識や自信がなくてうまく説明ができていない、あるいは患者の感情面や生活の質に無関心といった医療者側の要因、そして患者と医療者の相性の問題などもありました。このようにアドヒアランスに影響する因子として、表に示すように大きく4つに大別されます。
患者様の服薬アドヒアランスを向上させるためには、まず医療者と患者様が良好な関係を築くことが重要と思います。そして、この治療法は実行可能か、また治療を妨げる因子があるとすればそれは何かについて考え、それを解決するためには何が必要かなどをアドバイスし、患者様と共に考えて決定していく必要があると思います。一緒に考えることが、より患者様の理解やアドヒアランスを向上させ、ひいては治療効果を増すことが期待できます。そのためにも、医療者は、治療に対する正しい知識とコミュニケーションスキルを習得する必要があります。

表:アドヒアランスに影響を与える要因
1. 治療内容(薬剤や処方など)による要因

2. 患者側の要因
[1]心理的要因
    [2]非心理的要因
    [3]疾病や薬物療法への理解不足
    [4]精神症状による要因

3-1. 医療者側の要因
3-2. 患者―治療者の治療関係の要因
4. 周囲の要因(環境)
Q45.
小児の解熱法について教えてください。
A.

毎年11月下旬から翌年3月下旬ごろまで罹患者が増えるのがインフルエンザを含めた風邪などのウイルス感染者ですが、今年はすでに新型インフルエンザ罹患者が増えてきています。その主要な症状の一つが「発熱」です。
40℃を超える発熱は、ある種の細菌やウイルスの増殖が抑えられることが、分かっています。またヒトにおいては、水痘の小児にアセトアミノフェンを投与すると症状が遷延することや、風邪の成人にアスピリンを投与すると症状が遷延し、ウイルス排除に時間がかかることが示されています。このように発熱は感染に対する生体防御反応として重要ですが、時として身体にとって害となることがあります。なぜなら発熱時には基礎代謝率、身体の酸素消費量、二酸化炭素産生量が増加し、心血管系や呼吸器系の仕事量が増えるので、心疾患や呼吸器疾患のある小児などには、不利になるからです。
小児の解熱に良く用いられるアセトアミノフェンの使用量は、添付文書には「通常、乳児、幼児及び小児には、体重1kgあたり1回10~15mgを使用する。投与間隔は4~6時間以上とし、1日総量として60mg/kgを限度とする。」とされています。比較的に安全な薬剤ですが、連続使用(5日以上の連用)では腎障害などの毒性が出現しやすいと言われていますし、大量使用になれば肝障害を生じることも忘れてはいけません。なおアセトアミノフェンの解毒には、N-アセチルシステインが使用されています。
熱性けいれんの際に、ジアゼパムなどの抗けいれん薬が使用されますが、アセトアミノフェンなどの解熱剤と併用する場合は、抗けいれん薬坐剤を先に使用し、30分以上あけてから解熱薬坐剤を使用する必要があります。一緒に使用すると、脂溶性薬剤のジアゼパムが、アセトアミノフェンの油脂性基剤に一部取り込まれてしまうため、体内への吸収が遅れるといわれています。(また、吐き気止めの座薬も同様に、吐き気止め→解熱剤となります)
熱の上昇期に冷やしたり解熱剤を使用したりすると、寒気が持続してしまいます。熱が上がりきり、手足が温かく顔が赤くなってから、薄着にします。そしてタオルで巻いた氷嚢などを用い、首の付け根、腋の下、足の付け根を冷やすと体温を下げるのに効果的です。ただし体温を下げるのは病気を治す意味はなく不快感を減らすことが目的なので、こどもが嫌がる場合は無理に行う必要はないと思います。それよりも水分補給をしっかりと行うように、指導が必要です。
患者の家族には、「解熱薬は、あくまでも対症療法であり、治癒を推進するものではないこと、平熱まで戻す必要はなく1℃から数℃下がれば大分楽になること、大体1~2時間程度で効いてくること」などを、説明しましょう。また小児の発熱性疾患には重篤な感染症の危険性もあるので、解熱剤を用いて安心するのではなく、適切に受診を勧めることも重要と思われます。

Q46.
腎臓の機能が低下した方の薬の飲み方で気をつけることはありますか?
A.

腎機能低下時における薬剤投与の問題点は、さらに腎機能を悪化させることと、薬剤やその代謝物が排泄されずに蓄積が起こり、副作用を発現させることです。したがって、腎機能低下時に問題をきたしやすい薬剤は何か、あるいはどの薬剤をどれだけ使用すれば安全かを知っておく必要があると思われます。
患者様への影響を検討した上で、特に問題となりやすいものとして、H2受容体拮抗薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、消炎鎮痛薬(NSAIDs)、ジゴキシン、ベザフィブラート、スルピリド、アマンタジン、アルミニウム・マグネシウム含有製剤、DOAC(直接経口抗凝固薬)、DPP4阻害薬などがあります。なお抗菌薬には、ペニシリン系、セフェム系、モノバクタム系、ニューキノロン系、グリコペプチド系など、大部分が腎排泄型であり、投与量あるいは投与間隔の変更が必要となります。
これらが処方されている場合、腎機能検査値(血清クレアチニン(S-Cr)、血中尿素窒素(BUN)、尿酸(UA)、クレアチニンクリアランス(Ccr))の確認が必要です。なおクレアチニンクリアランスが測定されていない場合は、下記のCockcroft&Gaultの式により、推定することができます。

Cockcroft&Gaultの式
Cockcroft&Gaultの式

しかし病院薬剤部と比べると保険薬局では、検査値は患者から聞き取るしかない場合が多く、腎機能が低下している患者かどうかの判断が難しいとことがあります。そこで、下記のような腎疾患患者に用いられる薬剤(多くの場合、併用されています)をチェックし、患者様に「今まで腎機能低下と指摘されたことがないか」を聞いた上で、添付文書等を参考にして、腎機能障害禁忌の薬剤あるいは腎排泄型薬剤が減量されずに処方されていないかを確認されてはいかがでしょうか。

表:腎疾患患者に用いられる主な薬剤
使用目的 薬剤
糸球体内圧の低下、尿蛋白の抑制 ACE阻害薬、ARB薬
毒素の吸着除去 活性炭
低カルシウム血症 活性型ビタミンD
高カリウム血症 陽イオン交換樹脂
高リン酸血症 沈降炭酸カルシウム、塩酸セベラマーなど
浮腫 利尿薬(フロセミド)
アシドーシス 炭酸水素ナトリウム
Q47.
緑内障治療薬(点眼薬)の注意点を教えてください。
A.

緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなる病気のことです。治療が遅れると失明に至ることもあります。
症状は、少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。しかし、その進行は非常にゆっくりで、両方の目の症状が同時に進行することは稀なので、病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。
また、一度障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできません。
したがって、緑内障の治療は、視神経がダメージを受けてこれ以上視野が狭くならないように、眼圧を下げることが基本となります。
そのためには、眼圧を下げる効果のある目薬を点眼します。具体的には、房水の産生を抑える効果がある薬や、房水の流出を促す効果がある薬を点眼して、眼圧を低下させます。もともと眼圧が高くない人でも、眼圧を下げることによって、病気の進行を抑えることができます。
そこで大切なのが「点眼の仕方」です。たとえ点眼薬であっても薬によっては、まぶたの色素沈着やまつ毛の伸長,循環器系(不整脈など)や呼吸器系(喘息)などの副作用があります。副作用を防ぐためには、点眼の際は結膜嚢(まぶたの下の袋状の部分)内に点眼し、5分程度眼を閉じて目頭部を圧迫させること、また眼から流れ出た液は清潔なティッシュペーパーで拭き取ることが重要です。また目薬によっては使用する前に振り混ぜたり、また点眼する順番も大切となります。保存方法にも注意しましょう。(日本薬剤師会ホームページより一般の方向けパンフレット「目薬の使い方」と、医療関係者向け「点眼剤の適正使用ハンドブック-Q&A-」が得られます。是非参考にしてください)

Q48.
健康食品の有効性・安全性情報はありませんか?
A.

最近、テレビや新聞で「健康食品」に関する情報があふれていますが、間違っているものや、大げさなものもあります。また医薬品を服用している場合には、相互作用を注意する必要があります。私たち薬剤師は、患者様に正確な情報を提供しなくてはいけません。(相互作用に注意するべき健康食品としては、青汁、セントジョーンズワートなどがあげられます)(またスポーツ選手はドーピングにも留意する必要があります)
書籍では、日本薬剤師会推薦の「健康食品のすべて―ナチュラルメディシン・データベース―」に、効き目、安全性、医薬品との相互作用などが記載されています。インターネット上では、独立行政法人 国立健康・栄養研究所のホームページに「健康食品」の安全性・有効性情報として、公開されています。
患者様の中には、「天然だから」あるいは「食品だから」といって、健康食品は安心と思われている方もいますが、天然のものにも毒素を含むものがありますし、健康食品には特定の成分を過剰に濃縮して含有しているものがありますので、一般に食経験がある成分であっても、こうしたものが必ずしも安全であるとは言えません。
正しい情報を得るために、今回紹介しましたデータベースを参考にされてはいかがでしょうか。

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