薬学教育6年制における実務実習について

 6年制の教育カリキュラムでは、医療人としての倫理・教養、課題発見能力・問題解決能力、そして臨床実践能力を身につけるためのカリキュラムの充実が図られ、病院・薬局における6か月以上の長期実務実習が義務化されています。
 薬学実務実習の在り方・目標は、「薬剤師として求められる基本的な資質」の習得です。実習は、それまで薬学部で学んできた知識・技能・態度を基に臨床現場で「基本的な資質」の修得を目指し実践的な臨床対応能力を身に付ける参加・体験型学習です。

 6年卒業時に必要とされている資質は以下の通りである。

(薬剤師としての心構え)
薬の専門家として、豊かな人間性と生命の尊厳について深い認識をもち、薬剤師の義務及び法令を遵守するとともに、人の命と健康な生活を守る使命感、責任感及び倫理観を有する。
(患者・生活者本位の視点)
患者の人権を尊重し、患者及びその家族の秘密を守り、常に患者・生活者の立場に立って、これらの人々の安全と利益を最優先する。
(コミュニケーション能力)
患者・生活者、他職種から情報を適切に収集し、これらの人々に有益な情報を提供するためのコミュニケーション能力を有する。
(チーム医療への参画)
医療機関や地域における医療チームに積極的に参画し、相互の尊重のもとに薬剤師に求められる行動を適切にとる。
(基礎的な科学力)
生体及び環境に対する医薬品・化学物質等の影響を理解するために必要な科学に関する基本的知識・技能・態度を有する。
(薬物療法における実践的能力)
薬物療法を総合的に評価し、安全で有効な医薬品の使用を推進するために、医薬品を供給し、調剤、服薬指導、処方設計の提案等の薬学的管理を実践する能力を有する。
(地域の保健・医療における実践的能力)
地域の保健、医療、福祉、介護及び行政等に参画・連携して、地域における人々の健康増進、公衆衛生の向上に貢献する能力を有する。
(研究能力)
薬学・医療の進歩と改善に資するために、研究を遂行する意欲と問題発見・解決能力を有する。
(自己研鑽)
薬学・医療の進歩に対応するために、医療と医薬品を巡る社会的動向を把握し、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する。
(教育能力)
次世代を担う人材を育成する意欲と態度を有する。

 実習は、臨床現場で即戦力として業務を遂行できることを目指すものではなく、将来、医療、保健、福祉等における社会的ニーズに貢献する薬剤師として活躍できる基本的な知識・技能・態度、そして問題解決能力の修得を目指すものです。また、「基本的な資質」は、その水準を、医学、薬学の進歩に応じて高めていくことが必要であり、それが薬剤師としての生涯研鑽の目標であることも、実習を通じて学生及び指導に携わる薬剤師ともに深く認識することが肝要です。
 また実習は、モデル・コアカリキュラムに示された目標を単に作業として身に付けるのではなく、目標の持つ意義を理解してそれを修得することを目的とすべきです。そのために、知識偏重の実習ではなく、医療人の一員として臨床現場で個々の事例や症例を体験してもらうことが必要です。医療における薬剤師業務の意義や薬物治療における薬剤師の役割を理解し、薬の専門職として医療現場で臨機応変に対応できる実践的な能力を養成する実習を行うべきです。

薬学実務実習に関するガイドライン
(平成27年2月10日、薬学実務実習に関する連絡会議)

薬局実務実習の関連情報、資料および日本薬剤師会作成のテキスト等は日本薬剤師会の薬局実務実習関連情報・資料等一覧を参照してください。

実習施設への指針

 受入れ時の学生の基本的資質に対する理解が必要です。共用試験に合格することは、その学生が「薬剤師業務ができる」のではなく、「これから医療の現場で実践的な業務を学んでいける資格がある」ということです。実習は、医療現場での実践的な業務が可能な基本的能力修得を目指すものであることを念頭において指導を行う必要があります。また、実習施設としての要件を維持することも必要です。

6年制薬局実習の受入薬局に対する基本的な考え方
1. 薬局実習について
薬局実習は、一薬局完結型を基本とする。
2. 受入薬局について
受入薬局に複数の薬剤師が勤務する場合であっても、受入れた学生の薬局実習については当該薬局の認定実務実習指導薬剤師が責任をもって行う。
受入薬局は、以下の体制を備えた薬局であること。
(受入薬局の要件)
  • 実習ガイドラインが求める地域保健、医療、福祉等に関する業務を積極的に行っていること。なお「健康サポート薬局」の基準と同等の体制を有していることが望ましい。
  • 「代表的な疾患※1」に関する症例を実習できる体制を整備していること
  • 認定指導薬剤師が常勤していること
  • 薬剤師賠償責任保険に加入していること
 ※1 がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症(「薬学教育モデル・コアカリキュラム 平成25年度改訂版」F薬学臨床 より)
3. 受入れる学生について
受入れる学生については、以下のことが事前に確認されていること。
(1) 参加型実務実習を行うために必要な知識・技能・態度が修得されていること
  • 実務実習事前学習をはじめとする学内教育が十分に行われていること
  • それらの教育プログラムが薬学教育評価機構の第三者評価、又は自己点検・評価により確認されていること
  • 薬学共用試験に合格していること
(2) 健康診断等を受診していること
  • 健康診断を受診していること
  • 必要な疫学的検査を実施していること
  • 必要な予防接種を受けていること
(3) 傷害保険と損害賠償保険に加入していること
(4) 実習継続のために必要な実習生の情報が、所属大学より実習施設の認定指導薬剤師に提示されていること
4. 受入学生数について
実習期ごとの受入学生数は、1薬局2名までとする。
5. 学習成果基盤型教育(OBE)に基づく繰り返し実習を行うための連携体制の整備について
実習生が幅広い薬剤師業務について繰り返し体験し、コミュニケーション能力や問題解決能力を培う実習体制を確保するために、認定指導薬剤師が必要性を認めた場合、同一地域の薬剤師会の範囲及び規定において連携体制を構築する。
なお、連携する場合は以下(1)~(3)を満たすこと。
(1) 当該地域の薬剤師会の主導で構築された連携体制の範囲での連携とすること
(2) 連携する薬局(以下、「連携薬局」という。)での指導は、連携薬局の指導薬剤師が行い、当該指導薬剤師は受入薬局の認定指導薬剤師に対し、実習の進捗状況を報告すること
※連携薬局は、2の「受入薬局の要件」を満たすことが望ましい。
(3) 連携薬局における実習は、受入薬局の認定指導薬剤師の責任で行うこと
また、連携薬局に協力依頼できる実習内容(方略を含む。)は以下に関するものとする。
  • 在宅医療に関する参加型実習
  • 薬局製剤に関するもの
  • 無菌調剤に関するもの
  • 学校薬剤師業務に関するもの
6. 地域が主体となって受入体制を整備する実習について
地域活動を体験する実習については、当該地域が主体となって実習体制を整備する。当該地域が主体となって行う実習内容(方略を含む。)は、概ね以下に示す項目とする。
  • 救急医療(休日・夜間における医薬品供給等)に対応した活動に関するもの
  • 災害時における医療救護活動に関するもの
  • 薬と健康の週間等地域の保健・医療に関する事業や活動に関するもの
  • 麻薬、覚せい剤や危険ドラッグ等の薬物乱用防止活動に関するもの
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