薬草資料館
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カワラヨモギ
【生薬】インチンコウ(茵蔯蒿) 秋、開花後しばらくして花穂のみを刈り取り、速やかに乾燥する。香りの強いものが良品。
【成分】精油:capillarin, capillin, capillene, nor capillene, capillone、クマリン類:scoparone, esculetin、フラボノイド:cirsiinrol, cirsimaritin、クロモン類:capillarisin, capilartemisinA, B 等。
【効能】消炎性利尿、利胆薬として解熱、肝炎予防、黄疸、胆道疾患、胆嚢炎などを目的に漢方処方に配合される。 -
エビスグサ
【生薬】ケツメイシ(決明子) 秋、果実が成熟し茶褐色になってから株ごと抜き取り、ハサ掛けして乾燥し、種子を叩き出す。風選して煩雑物を取り除き、再び陽乾する。顆粒が均一で、充実し、黄褐色なものが良品。
【成分】アントラキノン誘導体:emodin, obtusifolin, obtusin, chryso-obtusin, aurantio-obtusin およびその配糖体、ナフトビロン誘導体:rubrofusarin, norrubrofusarin, cassiaside B 2 , C 2 、イソクマリン:troalactone 等。
【効能】緩下、整腸、健胃、強壮、利尿薬として、便秘、腹部膨満整腸に用いる。眼病や目の疲れ、充血にも用いる。漢方処方に配合される。 -
ベニバナ
【生薬】コウカ(紅花) 開花後、管状花が黄色から橙色、鮮紅色に変わった頃摘み取り、風通しの良い日陰で乾燥する。花片が長く、色が鮮紅色で、質の柔軟なものが良品。
【成分】紅色色素:carthamin、黄色色素:safloryellow、フラボノイド:carthamidin,neocarthamin、種子からは、脂肪油:linoleic acid, oleic acid、ステロール類等。
【効能】婦人病、通経、鎮痛薬として一般の配合薬に配合される他、婦人薬とみなされる漢方処方に配合される。ベニバナ酒としても用いる。食用着色料、染料としても名高い。 -
シュロ
【生薬】シュロジツ(棕櫚実) 晩秋、果皮が青黒くなった頃取り、陽乾する。
【成分】leuco-antthocyanins、tannin 等。
【効能】民間では高血圧症の予防に、また下痢、帯下、腎臓病や浮腫に用いる。 -
シャクヤク
【生薬】シャクヤク(芍薬) 秋に掘り上げ、根を株元から外し、冬に外皮を剥ぎ、自然乾燥する。
【成分】モノテルペン配糖体:paeoniflorin, albiflorin, oxypaeoniflorin, benzoylpaeoniflorin, paeoniflorigenone、フラボノイド、タンニン、安息香酸等。
【効能】鎮痛・鎮痙、婦人用、冷え性、かぜ、皮膚疾患消炎・排膿薬とみなされる多くの漢方処方に配合される。 -
シキミ
【生薬】モウソウジツ(莽草実) 秋に熟するので採取し、そのまま乾燥すると袋果は開裂し種子を外にはじき出す。褐色星状で先端部が尖り、強い香りを持つ。
【成分】有毒成分:anisatin, neoanisatin, dioxyanisatin、精油:safrol, eugenol, cineol 等。
【効能】過去に香料の原料として栽培された。葉や種皮を線香や抹香の原料とする。 -
コブシ
【生薬】シンイ(辛夷) 花の咲く前の早春に蕾を摘み取り、枝柄を切り除き陰干しする。
【成分】リグナン:fargesin, demethoxyaschantin, aschantin, magnolin, biondinin A, B, E、精油:α-pinene,sabinene, limonene, cineol、アルカロイド:salicifoline 等。
【効能】頭痛、歯痛、鼻炎の鎮静、鎮痛薬として辛夷清肺湯や葛根湯加辛夷川芎などの漢方処方に配合される。 -
ナズナ
【生薬】セイサイ(薺菜) 春に根ごと引き抜き、水洗いしてから陽乾する。よく乾燥し、茎が緑色のものが良品。
【成分】フラボノイド:diosmin、インドールアルカロイド:brucine、choline、acetylcholine、糖類、有機酸、アミノ酸等。
【効能】民間薬として高血圧、解熱、利尿、便秘、肝臓病、吐血、血便、血尿、生理不順、下痢に煎じて服用。目の充血、痛みに煎液で洗眼。 -
ナツメ
【生薬】タイソウ(大棗) 熟して暗紅色になった果実を取り、数日陽乾した後蒸して再び陽乾する。色が紅く、肉厚で、充実し、核が小さく、味の甘いものが良品。
【成分】糖類:glucose, fructose、多糖類:arabinose, pectin、有機酸:malic acid, tartaric acid、トリテルペノイド:oleanolic acid, ursolic acid、サポニン:zizyphussaponin Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ等。
【効能】緩和、強壮、鎮静、鎮痙、利尿薬としてかぜ薬、鎮静鎮痙薬、健胃消化薬、止瀉整腸薬、精神神経用薬とみなされる漢方処方に配合される。生食用、薬用酒としても用いられる。 -
ホソバセンナ
【生薬】センナ 開花最盛期を過ぎた頃、葉を摘み取り、陰干しする。弱いにおいがあり、味は苦い。緑色で葉柄が少ないものが良品。
【成分】ジアンスロン類:sennosideA, B, C, D、アントラキノン類:rhein,aloe-emodin, chrysophanol およびそれらの配糖体、フラボノイド:kaempferol、ナフタレン類:tinnevellin glucoside 等。
【効能】緩下薬。配合薬原料。 -
サフラン
【生薬】サフラン 11月頃から開花が始まるので、咲き始めの花から花柱を摘み取る。細かい目皿のような物の上に広げ、30-35℃のオーブンに入れ、約10時間ほどで乾燥させる。赤色で香りの強いものが良品。
【成分】黄色カロチノイド配糖体:crocin、苦味配糖体:picrocrocinとその加水分解物safranal等。
【効能】鎮静、鎮痙、婦人用薬として冷え性、血色不良に用いる。料理に着香料として、染料として、また花の観賞用に幅広く用いられている。 -
オクトリカブト
【生薬】ブシ(附子) 秋に掘り起こし、母根から子根をはずし、水洗しそのまま乾燥したものを日本では川烏頭と言い、減毒処理としてニガリと食塩の溶液に浸した後乾燥したものを塩附子、外皮を剥ぎ縦割りしてニガリ水に漬け、煮沸後乾燥したものを炮附子、塩水に浸した後石灰をまぶして乾燥したものを白河附子と言う。現在製剤用として高圧蒸気処理後乾燥する加工附子も用いられている。
【成分】アコニチン系アルカロイド:aconitine, hypaconitine,mesaconitine, jasaconitine, neopelline、アチシン系アルカロイド:atisine, kobusine, pseudokobusine,telatisine, hypognavine, ignavine、強心成分:hygenamine, coryneine 等
【効能】強心、利尿、鎮痛薬として、代謝機能失調、身体四肢関節の麻痺・疼痛、虚弱体質者の腹痛、下痢、失精など内臓諸器官の弛緩などの症状を目的に温脾湯、桂皮加附子湯、牛車腎気湯、芍薬甘草附子湯、真武湯、八味地黄丸、附子湯などの漢方処方に配合される。