薬草資料館
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ヒガンバナ
【生薬】セキサン(石蒜) 葉が枯れた晩春から初夏にかけて鱗茎を掘り取り、ひげ根を除去し、水洗して外皮を剥ぎ、陽乾する。生で使う場合は随時掘り取り、すりおろして患部に貼る。
【成分】アルカロイド:lycorine, lycorenine, lycoramine, galantamine, tazettine、デンプン、多糖類:glucomannan, glucofructan。
【効能】去痰、解毒、催吐剤として用いられたことがあるが、毒性が強いため外用のみで使う。肩こり、浮腫に鱗茎をすりおろし、両足の土踏まずに貼る。同じくすりおろしたものを乳腺炎、腫れ物、いんきん、たむしなどの患部に貼る。 -
キキョウ
【生薬】キキョウ(桔梗根) 秋から翌春の萌芽前に根を掘り取り、水洗、細根を取り除き、陽乾する。乾燥しにくいので外皮を剥いでから乾燥するのもよい。太く、堅く、味が苦く、まっ白の物が良品。
【成分】サポニン:platycodinA,C,D,D2 ,polygalacinD,D2、ステロール類:α-spinasterol,stigmasterol、inulinなど。
【効能】鎮咳去痰薬として粉末を服用する。主に漢方処方用薬で消炎排膿、鎮咳去痰薬とみなされる桔梗湯、排膿散などに配合される。 -
トウキ
【生薬】トウキ(当帰) 晩秋、雪が降りだす前に掘上げ、葉を束ねて雨のかからない、風通しの良い所に吊るして約1-2ヶ月乾燥した後、葉を切り落とし、水洗後湯通しする。根を揉んで土などを落とし、風通しの良い所に並べ再び乾燥する。
【成分】精油:ligustilide,butylidene phthalide,butylphthalide,sedaonnic acid lactone,safrole,isosafrole,bergaptene,p-cymene 等。ポリアセチル化合物:falcarinol,falcarindiol,falcarinolone、クマリン類:scopoletin,umbelliferone など。
【効能】主として漢方処方用薬として婦人薬、冷え性、保健強壮、精神神経用薬、尿路疾患などとみなされる処方に配合される。葉を浴湯料に。 -
ドクダミ
【生薬】ジュウヤク(十薬) 6月頃の開花期に地上部を刈取り、水洗する。水切りも兼ねて少し陽乾した後、束ねて風通しのよい軒下など日陰に吊るして乾燥する。
【成分】精油:nonylketone,capric aldehyde,ketodecanal,methyllauryl sulfide,myrcene,臭気成分(decanoyl acetaldehyde,lauric aldehyde) 等、フラボノイド:quercitrin, isoquercitrin 等。
【効能】主に民間薬。利尿、便通、高血圧予防に煎じて服用する。解毒、胚の排膿薬として化膿症、湿疹、蓄膿症、中耳炎などに煎服する。生の葉は抗菌作用、解毒作用が強いため、腫れ物や蓄膿症、湿疹、水虫、かぶれに外用する。痔や脱肛も同様に用います。あせもやかゆみに浴湯料として使う。 -
トクサ
【生薬】トクサ(木賊) 4月頃か8~10月に地上部を刈取り、陽乾する。
【成分】SiO2、palustrine、dimethyl sulfone、thymine、ferulic acid 等。
【効能】漢方では眼科の治療薬として、結膜炎、角膜混濁、流涙症に応用する。民間では収斂止血薬として痔出血、腸出血、月経過多、下痢に服用する。また、利尿剤としても用いる。 -
ハシリドコロ
【生薬】ロート根 茎葉が枯死する初夏に堀上げ、ひげ根を除いて水洗し、陽乾する。十分に乾燥するまで2ヶ月を要する。
【成分】トロパンアルカロイド:hyoscyamine,atropine,scopolamin、オキシクマリン化合物 :scopoletin とその配糖体scopolin、ステロイド配糖体:scopolosid Ⅰ ,Ⅱ等。
【効能】ロートエキス製造原料。ロートエキスは鎮痛、鎮痙薬として製剤に配合される。毒性が強いので一般には使用しない。 -
イチハツ
【生薬】エンビコン(鳶尾根) 秋に葉が黄変する頃掘り上げ、根を除き、水洗後陽乾する。
【成分】イソフラボノイド配糖体:tectoridin, iristectorinA・B, tectoruside 等。
【効能】下剤、催吐剤。解毒、活血、利水薬として消化不良、水腫、打ち身に用いる。 -
トコン
【生薬】トコン(吐根)3年生以上の株の根を掘り取り、陽乾する。
【成分】アルカロイド:emetine,cephaeline,psychotrine,O-methylpsychotrine,ipecamine,
hydroipecamine, emetamine,protoemetine 等。
【効能】emetine 製造原料。催吐剤。アメーバ赤痢の治療薬。鎮咳・去痰薬に配合される。劇薬なので一般では使用しない。 -
カラスビシャク
【生薬】ハンゲ(半夏)7~9月、まだ花茎が残っている時期に塊茎を掘り取り砂と水を入れた容器中で撹拌し、ひげ根と外皮を取り除き、水洗後陽乾する。
【成分】えぐ味成分:homogentisic acid,3,4-dihydroxy-benzaldehyde、アルカロイド:ephedrine、アミノ酸、多糖類、ステロール類、シュウ酸カルシウム等。
【効能】よく湿を燥し、痰を化し、胃を和し、逆を降ろし、脾胃の水湿を除く去痰、鎮吐薬として小半夏湯、半夏瀉心湯、二陳湯、半夏厚朴湯,小柴胡湯などの漢方処方に配合される。 -
シナマオウ
【生薬】マオウ(麻黄) 秋に地上部を刈り取り、陽乾する。
【成分】アルカロイド:ephedrine,pseudoephedrine,ephedroxane,norephedrine、methylephedrine 等、タンニン、フラボノイド等。
【効能】主に漢方処方用薬。鎮咳去痰、気管支拡張、鼻炎、解熱鎮痛消炎薬とみなされる葛根湯、小青竜湯、防風通聖散、麻黄湯、麻杏甘湯などに配合される。 -
ジャーマンカモマイル
【生薬】カミツレ 開花している花を摘み取り、陽乾する。
【成分】精油:chamazulene,α-famesene,matricin,bisabolol、クマリン類:asculetin,herniarin,umbelliferone、フラボノイド:apigenin,quercetin、糖類:inositol、taraxasterol、dihydroxycinnamic acid、triacontane 等。
【効能】駆風、発汗、消炎、鎮痛、鎮痙、強壮、健胃、整腸薬としてかぜ、神経痛、リューマチ、腰痛、不眠症、喘息、便秘、下痢、胃腸炎に広く用いられる。香料としてリキュール、香水、シャンプーなどにも応用される。また、神経痛、リューマチ、腰痛に浴剤として用いる。 -
アラビアコーヒーノキ
【生薬】コーヒー豆 赤熟果実を採取し、2 ~ 3 週間天日乾燥し、脱穀機で果肉皮や銀皮と呼ばれる内皮を除き、焙煎する。
【成分】caffeine,caffeic acid,chlorogenic acid,niacin,trigonelline 等。
【効能】現在は嗜好飲料として飲まれています。含有成分のcaffeine は興奮作用、心筋収縮増強作用、平滑筋弛緩作用、利尿作用などがあります。