薬草資料館
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ウラジロガシ
【生薬】ウラジロガシ 随時、葉を採り刻んでから速やかに陽乾する。
【成分】フラボン:quercetin,kaempferol,isoquercitrin、タンニン様物質:gallic acid,ellagic acid,catechol,pyrogallol、トリテルペン:friedelin,epi-friedelanol,friedelanol,taraxerol,friedelanol 等。
【効能】結石発育抑制作用および溶解作用があり、抗炎症作用、利尿作用とともに腎結石・尿管結石に対する排出促進効果がある。 -
シソ
【生薬】ソヨウ(蘇葉) 6月頃から開花期直前の8月頃までに葉を採取し、半日ほど陽乾したあと日陰で乾燥する。香が強いものが良品。
【成分】精油:perillaldehyde,limonene,pinene,octanol 等、アントシアン配糖体:shisonin、フラボン類:apigenin, luteolin、その他:caffeic acid,rosmarinic acid 等。
【効能】香蘇散、神秘湯、半夏厚朴湯等の漢方処方配合される。芳香性健胃薬としても用いられる。 -
サキシマボタンヅル
【生薬】イレイセン(威霊仙) 秋、根を掘り上げ、茎葉、ひげ根を取り除き、陽乾する。
【成分】トリテルペン:oleanolic acid、サポニン:clematichimenoside A,B,C、リグナン:anemoninprotoanemonin, clemaphenol等。
【効能】主に神経痛のしびれや痛みを治す蛇床子湯、疎経活血湯、二朮湯等の漢方処方に配合される。 -
アサ
【生薬】マシニン(麻子仁) 秋、果実が成熟した時株ごと刈取り、乾燥後に果実を叩き落とす。黄色で皮殻が無く、豊満なものが良品。
【成分】脂肪油:linolic acid,linolenic acid,oleic acid、ポリフェノール:cannabisin A-G、その他 pentosan, dextrin, cholone, torigonelline 等。
【効能】主に麻子仁丸等の漢方処方に配合される他、緩下、鎮咳薬として煎服される。 -
カギカズラ
【生薬】チョウトウコウ(釣藤鉤) 春、秋に鉤つきの若枝を採取し、鉤を中心に上下数センチを切り取り日干しするか、蒸したのち日干しする。
【成分】インドールアルカロイド:rhynchophylline,isorhynchophylline, hirsutine,hirsuteine,corynantheine,dihydrocorynantheine 等。
【効能】鎮痙、鎮痛薬として高血圧動脈硬化による頭のふらつきや目まい頭痛に応用する。主に漢方処方薬として血圧降下、消炎、鎮痙の目的で釣藤散、抑肝散、七物降下湯等に配合される。 -
ケシ
【生薬】アヘン(阿片) 未熟果実に傷を付け、分泌する白色乳液をへらでかきとり、乾燥したもの。空気に触れると黒色を帯びた塊になる。
【成分】アルカロイド:morphine, codeine, papaverine, noscapine, thebaine, narceine、その他:meconic acid, meconin、脂肪油、樹脂、糖類、ペクチン、タンニン等。
【効能】かつては鎮痛、鎮痙、鎮咳、止瀉薬として用いられたが、習慣性があり、アヘン末として少量用いられるだけになっている。morphine などの製薬原料。麻薬。 -
サンショウ
【生薬】サンショウ(山椒) 秋、完熟果を採取し、乾燥する。果皮が割れて出てくる種子と果柄などの混雑物を取り除き再び陽乾する。
【成分】モノテルペノイド:citronellal, limonene, β-phellan drene, geraniol, citronellol、辛味成分:α-sanshool, γ-sanshool, hydroxy-α-sanshool, hydroxy-β-sanshool、アルカロイド:magnoflorine、タンニン:hyperine、ステロール類:campesterol, stigmasterol、その他:xanthoxin, xanthoxinic acid 等。
【効能】健胃、整腸、利尿、駆風、駆虫薬として食欲不振、胃下垂、消化不良、回虫駆除に用いる。漢方処方大建中湯や当帰湯などにも配合される。 -
ヤマザクラ
【生薬】オウヒ(桜皮) 夏に余り老朽化していない樹皮を剥ぎ、天日乾燥する。
【成分】フラボノイド:sakuranetin, sakuranin, genkuwanin, glucogenkuwanin 等。
【効能】蕁麻疹、腫れ物など皮膚病に用いる。エキスはブロチンの名で鎮咳去痰薬として配合される。華岡青洲の経験方である十味敗毒湯にも配合される。 -
マンドレーク
【生薬】マンドラゴラ酒 古代ローマの薬酒で根を細切りしてそれに糸を通し、3ヵ月間発酵前のブドウ液に浸しておく。発酵後の酒を別の甕に移す。(De Materia Medica)
【成分】アルカロイド:atropine, apoatropine, scopolamine, hyoscyamine, belladonine, cuscohygrine 等。
【効能】毒性が強いため現在では薬用に使用されることはないが、古くは解熱、鎮痛、催吐、幻覚、瀉下薬として、また催淫薬、催眠薬として使われた。 -
ヌルデ
【生薬】ゴバイシ(五倍子) 若芽に寄生したヌルデノミミフシの幼虫が作った虫癭を秋に採取し熱湯で煮て殺虫し、乾燥する。
【成分】タンニン:penta-m-digalloyl-βglucose,gallic acid,m-digallic acid、脂肪、樹脂、デンプン、ロウ質等。
【効能】収斂、止瀉、鎮咳、止血、止汗薬として慢性の下痢や咳嗽、脱肛、盗汗、鼻出血、痔出血に用いた。現在ではタンニン酸、没食子酸、ピロガロールの製造原料として、工業用の染料、皮なめし、インク原料に用いられる。 -
ツルシキミ
【生薬】インウ(茵芋) 随時葉を採取し、陽乾する。
【成分】アルカロイド:dictamnine,skimmianine、クマリン配糖体:skimmin 等。
【効能】中国では祛風湿、止痛薬としてリウマチなどの関節痛、筋肉痛、下肢萎弱に用いたが、毒性が強く現在では用いない。殺虫作用があるところから煎じたエキスを農薬として用いた。 -
ビワ
【生薬】ビワヨウ(枇杷葉) 秋に葉を採取し、裏面の毛をブラシなどで取り除いた後陽乾する。
【成分】青酸配糖体:amygdalin、セスキテルペン:nerolidol,eriojaposide A,B、トリテルペノイド:ursolic acid,oleic acid,euscaphic acid,maslinic acid、ポリフェノール:chlorogenic acid,procyanidin、糖類等。
【効能】口渇、健胃、止渇、鎮咳、消炎、利尿薬として甘露飲や辛夷清肺湯、枇杷葉湯に配合される。民間では咳止め暑気あたり胃腸病に煎じて服用する。あせも、湿疹、皮膚炎に浴湯料として用いる。