薬草資料館
-
ショウブ
【生薬】ショウブコン(菖蒲根) 冬、地上部が枯れる時期に根茎を掘り取り、ひげ根を除き水洗、陽乾する。
【成分】精油:asarone, asarone, asarylaldehyde, eugenol, methyleugenol, calamene, calameone, calamine, acorone, isocalamendiol, acoronene 等。
【効能】同属のセキショウコン(石菖根)は鎮静、鎮痛、健胃、駆虫薬として用いるが、ショウブコンは飲用すると吐き気を催すことがあり、服用には適さない。主に浴湯料として利用され、神経の緊張をほぐし、血行を良くしリュウマチや神経痛、不眠症に効果がある。 -
クヌギ
【生薬】ボクソク(樸樕) 樹皮を夏に剥ぎとり、水洗いして陽乾する。
【成分】フラボノイド:quercetin、クマリン誘導体:fraxin,scopoline、タンニン、でんぷん、糖類、脂肪等。
【効能】駆瘀血、止瀉、解毒作用があり、腫瘍、痔、下血、打ち身、下痢などに用いる。漢方処方では十味敗毒湯、治打撲一方などに配合される。 -
ジンチョウゲ
【生薬】ズイコウカ(瑞香花) 開花期(3-4月)に花を採取し、陽乾する。
【成分】精油:linalool,hexenal,citronellol,nerol 等、 クマリン類:daphnetin,daphnin 等。
【効能】中国では民間薬として咽喉の腫れ痛み、歯痛、リウマチ痛、初期の乳がんに用いる。日本の民間薬では有毒植物であることもあり、用いることはない。 -
タマリンド
【生薬】タマリンド 冬から春に摘み取り、種子の膨らみごとに切り離し、割って種子を除いて陽乾する。
【成分】有機酸:tartaric acid,citric acid,malic acid、ビタミン類:thiamin,riboflavin,nicotinic acid,pantothenic acid,folate,ascorbic acid、糖類:glucose,fructose、アミノ酸類:tryptophan,lysine,methionine,serine,β-alanine,proline,phenylalanine,leucine 等
【効能】第四改正日本薬局方に収載され、果肉を熱性病や緩下剤として用いたことがあるが現在は用いていない。中国では暑気払い、産婦の嘔吐、食欲不振に、タイ、インドネシアでは食欲増進、下剤に用いる。 -
オタネニンジン
【生薬】ニンジン(人参) 栽培して4-6年の根を秋に掘り取り、水洗後細い根を取り去り、周皮を除去し乾燥する(白参)。また蒸した後乾燥する(紅参)。
【成分】トリテルペン系サポニン:ginsenoside Ro,Ra1,Ra2, Rb1,Rb2,Rb3,Rc,Rd,Re,Rf,Rg1,Rg2,Rh、その他:panaxynol,panacene,beta-elemene,choline 等。
【効能】虚弱体質、筋肉疲労、病中病後、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症に用いられる外、滋養強壮薬として配合剤に用いられる。多くの漢方処方に健胃消化、止瀉・整腸、鎮痛・鎮痙、健胃強壮薬として配合されている。 -
コショウ
【生薬】クロコショウ(黒胡椒) 完熟前の緑色の果実を収穫し、そのまままたは湯通しした後天日乾燥する。乾燥の際、果皮が黒くなりシワが生じる。シロコショウ(白胡椒) 赤色に完熟した果実を収穫し、1週間ほど水に浸して発酵させた後、柔らかくなった外果皮・中果皮を除去したもの。(種子とこれを包む硬い内果皮のみ)
【成分】アルカロイド:piperine,chavicine、精油:phellandrene, pinene, caryophyllene, limonene 等
【効能】発汗、駆風、健胃薬として胃弱、、消化不良、下痢、腹痛に服用する。薬用には一般に白胡椒を用いる。スパイスとしても名高い。 -
トウガラシ
【生薬】バンショウ(蕃椒) 夏から秋の果実が熟したころ茎ごと引抜き陰干し、果実を摘んだ後更に乾燥する。色艶が良く、辛味の強い物が良品。
【成分】辛味成分:capsaicin,dihydro capsaicin、カロチノイド色素:capsanthin,β-carotene 等、その他ビタミンA,B1,B2,C、adenine,bettaine 等。
【効能】辛味性健胃薬として食欲増進、消化促進、唾液分泌促進に用いる。また、皮膚刺激薬として腰痛、筋肉痛、肩こり、リュウマチ、関節炎に外用する。 -
ウラジロガシ
【生薬】ウラジロガシ 随時、葉を採り刻んでから速やかに陽乾する。
【成分】フラボン:quercetin,kaempferol,isoquercitrin、タンニン様物質:gallic acid,ellagic acid,catechol,pyrogallol、トリテルペン:friedelin,epi-friedelanol,friedelanol,taraxerol,friedelanol 等。
【効能】結石発育抑制作用および溶解作用があり、抗炎症作用、利尿作用とともに腎結石・尿管結石に対する排出促進効果がある。 -
シソ
【生薬】ソヨウ(蘇葉) 6月頃から開花期直前の8月頃までに葉を採取し、半日ほど陽乾したあと日陰で乾燥する。香が強いものが良品。
【成分】精油:perillaldehyde,limonene,pinene,octanol 等、アントシアン配糖体:shisonin、フラボン類:apigenin, luteolin、その他:caffeic acid,rosmarinic acid 等。
【効能】香蘇散、神秘湯、半夏厚朴湯等の漢方処方配合される。芳香性健胃薬としても用いられる。 -
サキシマボタンヅル
【生薬】イレイセン(威霊仙) 秋、根を掘り上げ、茎葉、ひげ根を取り除き、陽乾する。
【成分】トリテルペン:oleanolic acid、サポニン:clematichimenoside A,B,C、リグナン:anemoninprotoanemonin, clemaphenol等。
【効能】主に神経痛のしびれや痛みを治す蛇床子湯、疎経活血湯、二朮湯等の漢方処方に配合される。 -
アサ
【生薬】マシニン(麻子仁) 秋、果実が成熟した時株ごと刈取り、乾燥後に果実を叩き落とす。黄色で皮殻が無く、豊満なものが良品。
【成分】脂肪油:linolic acid,linolenic acid,oleic acid、ポリフェノール:cannabisin A-G、その他 pentosan, dextrin, cholone, torigonelline 等。
【効能】主に麻子仁丸等の漢方処方に配合される他、緩下、鎮咳薬として煎服される。 -
カギカズラ
【生薬】チョウトウコウ(釣藤鉤) 春、秋に鉤つきの若枝を採取し、鉤を中心に上下数センチを切り取り日干しするか、蒸したのち日干しする。
【成分】インドールアルカロイド:rhynchophylline,isorhynchophylline, hirsutine,hirsuteine,corynantheine,dihydrocorynantheine 等。
【効能】鎮痙、鎮痛薬として高血圧動脈硬化による頭のふらつきや目まい頭痛に応用する。主に漢方処方薬として血圧降下、消炎、鎮痙の目的で釣藤散、抑肝散、七物降下湯等に配合される。